1. Home
  2. 採用情報
  3. 若手研究者の登用・育成制度

理研ECL制度

制度概要

2018年から13人の若手PI(Principal Investigator)を採用してきた理研白眉制度は、優秀な若手研究者の育成に重要な役割を担ってきました。理化学研究所は、若手研究者に対してより手厚い支援を行うため、理研白眉制度を拡充し、新しい理研ECL制度(RIKEN Early Career Leaders Program)を創設しました。

理研ECL制度では、若手研究者の研究計画やキャリアステージに対応した研究環境を整え、チームリーダーとユニットリーダーの2種類のポジションを用意しています。研究分野は、自然科学全般と数理科学、また人文・社会科学との境界領域も含みます。

研究室の立ち上げには十分な運営費が支給され、研究員やテクニカルスタッフを雇用することができます。また、理化学研究所の若手人材育成制度の基礎科学特別研究員大学院生・リサーチ・アソシエイト国際プログラム・アソシエイト理研スチューデント・リサーチャーを本部予算で受入れることも可能です。研究を進めるにあたって、理化学研究所の各種施設や共同利用機器を利用することができ、様々な研究分野の研究者と交流することができます。

研究室の運営については、豊富な経験のあるメンターから助言を受けることができます。チームリーダー、ユニットリーダー共に、理研内の無期雇用PIポジションに応募することを含め、様々なキャリアパスが可能です。

理研ECL研究チームリーダー

科学的、社会的にインパクトの高い野心的な研究に挑戦しようとする若手研究者を対象に、PIとして独立し、自らのチームを率いて研究を推進する機会を提供します。

  • 任期: 7年
  • 給与: 91万円 / 月
  • 研究費: 1,000万円~4,000万円 / 年

理研ECL研究ユニットリーダー

自身のユニークな研究テーマに意欲的に挑戦しようとする優秀な若手研究者を対象に、PIとして独立し、研究を推進する機会を提供します。特に、気鋭の若手の登用を促進するため、ホストの研究センター等において身軽な機動性の高い研究環境を提供します。

  • 任期: 5年
  • 給与: 71万円 / 月
  • 研究費: 研究計画に応じて1,000万円 / 年程度

最新の公募

2024年度公募:2024年7月公募開始予定(約3か月間)

詳細は、2024年度理研ECL制度公募方針についてをご覧ください。

RIKEN ECL program FAQs(英語)

加藤セチプログラム:理研ECL制度

広い視野と探究心を持ち、国際的な活躍が期待できる女性研究者を、世界的女性研究リーダーとして育成するため、2018年度から加藤セチプログラムを開始しました。プログラム名は、化学分析の先駆者として女性研究者の育成に尽力した、理化学研究所初の女性主任研究員、加藤セチ(1893-1989)にちなんでいます。

理研白眉制度で実施してきた加藤セチプログラムを理研ECL制度に展開し、女性研究者にチームリーダーおよびユニットリーダーのポジションを提供します。

加藤セチプログラムでは、ECLリーダーに対して、毎年1,000万円を上限とする研究費を追加で支給します。

理研ECL研究室主宰者の紹介

理研ECL研究チームリーダー

橋本 直

橋本 直の写真
研究室名

開拓研究本部 橋本中間子理研ECL研究チーム
仁科加速器科学研究センター 中間子理研ECL研究チーム

研究課題

反K中間子を構成要素とする新奇原子核の研究と超伝導X線検出器の学際的応用

自己紹介

私たちの身の回りの多様な物質がミクロの世界でどのように成り立っているのか、つまり素粒子であるクオークから核子(陽子や中性子)そして原子核はどのように構成されるのか、というのは自然科学の根源的な問いの一つです。量子色力学はこれらの統一的な記述を目指すものですが、核子の質量がどのように獲得されるのか、核子と原子核の階層が分かれて見えるのはなぜか、など多くの謎が残されています。私は、核子とは違ったクオーク複合粒子である中間子を原子核の中に入れ、その中間子や原子核の性質の変化を測定するというアプローチを取ってこれらの問題に挑もうとしています。
また、原子核研究の過程で導入したエネルギー分解能の非常に良い超伝導X線検出器を原子分子物理など幅広い分野での応用研究に展開しています。(第1期生、2024年4月1日着任)

谷 峻太郎

谷 峻太郎の写真
研究室名

開拓研究本部 光励起デジタルツイン理研ECL研究チーム(2024年5月1日組織設置予定)
光量子工学研究センター 谷光励起デジタルツイン理研ECL研究チーム(2024年5月1日組織設置予定)

研究課題

光励起により駆動されるマルチスケール現象のデジタルツイン構築

自己紹介

レーザー技術の発展により、原子間結合の強さに匹敵する光電場を自在に物質に印加できるようになってきました。このような強く自在な光電場は精密なレーザー加工をはじめとする物質状態制御への活用が期待されています。一方、連続的な固体が離散的な原子へと破断するような不可逆過程の物理は未だ明らかになっておらず、自在な制御を行うためには膨大な試行錯誤が欠かせないのが現状です。本研究課題では、測定の全自動化を通して、光励起を出発点とする微視的過程を大規模に観測し、現象の「文脈」を抽出する手法を開発することで、物質が不可逆に変化する過程の支配方程式を明らかにし、サイバー空間での最適化に資するデジタルツインの構築に取り組みます。(第1期生、2024年5月1日着任予定)

荻沼 政之

荻沼 政之の写真
研究室名

開拓研究本部 荻沼時間発生生物学理研ECL研究チーム(2024年5月1日組織設置予定)
生命機能科学研究センター 時間発生生物学理研ECL研究チーム(2024年5月1日組織設置予定)

研究課題

動物胚の時間制御機構の解明

自己紹介

生命には、驚くべき「時の設計図」が存在します。受精から始まり、体ができるまでの過程である胚発生は、厳密なスケジュールに従って進行し、この時間の管理は、遺伝子に組み込まれた時計機構によって行われていると考えられています。しかし、その具体的な分子メカニズムは、ほとんど解明されていません。アフリカ原産の不思議な魚、ターコイズキリフィッシュは、生きたままの状態で胚発生を停止し、長期間にわたって休眠状態に入ることができます。私は、この高度な時計停止現象であるターコイズキリフィッシュの休眠機構を解明し、その知見を他の生物にも応用することで、「時の設計図」の分子実態を明らかにすることを目指しています。(第1期生、2024年5月1日着任予定)

横林 しほり

横林 しほりの写真
研究室名

開拓研究本部 横林エピゲノムダイナミクス理研ECL研究チーム(2024年8月1日組織設置予定)
生命医科学研究センター エピゲノムダイナミクス理研ECL研究チーム(2024年8月1日組織設置予定)

研究課題

エピゲノム多様性の分子基盤の理解

自己紹介

私は個体の多様な形質を生み出す分子機序に興味を持ち、生殖細胞の発生メカニズムやエピゲノム制御機構の研究を行ってきました。エピゲノム情報は、単一のゲノム情報からさまざまな細胞型を作り出すことを可能にします。細胞のエピゲノム状態は個体の発生過程やその生涯を通じてダイナミックに制御されていますが、その確立や維持の過程においてどの程度の多様性(細胞間のばらつきや個体差など)を生じるのか、その実態はわかっていません。私はECLプログラムで、ヒトを含む哺乳類を用いた細胞・組織レベルの解析を通じてエピゲノム多様性の分子基盤と、環境変化応答や細胞運命変化への影響を理解することを目指します。将来的には、疾患感受性などにおける個々の表現型多様性とエピゲノム多様性の関係性理解につなげていきたいと考えています。(第1期生、2024年8月1日着任予定)

小宮 怜奈

小宮 怜奈の写真
研究室名

開拓研究本部 小宮生殖システム理研ECL研究チーム(2024年9月1日組織設置予定)
環境資源科学研究センター 生殖システム理研ECL研究チーム(2024年9月1日組織設置予定)

研究課題

多彩なNON-coding RNA群による植物生殖システム

自己紹介

古来、日本人は稲作とともに2000年もの歴史を歩んできました。種子がずっしりと稔った稲穂の田んぼ風景に、安らぎやほのかな喜びを憶えるのは私だけではないのではと思います。私は、この種子の稔り具合に影響を及ぼす「植物の生殖」をテーマに、イネの研究を進めています。特に、生殖ステージに発現する多彩なNon-coding RNA群とその作動因子による、様々な生殖事象の分子メカニズム解明を試みます。さらに、これら機能性RNAを組み合わせ、世界各地のさまざまな環境下で安定した食料供給を可能にする生殖強化プロジェヘクトを展開します。(第1期生、2024年9月1日着任予定)

齋藤 諒

齋藤 諒の写真
研究室名

開拓研究本部 齋藤生命現象エンジニアリング理研ECL研究チーム(仮)(2025年1月1日組織設置予定)

研究課題

新規生物システムの探索とその工学的改変による次世代治療法の開発

自己紹介

分子の集合がどのようにして生命現象を織りなすのかを理解したいという好奇心と、一つでも多くの病気を治療可能にしたいという想いが私を研究に駆り立てています。シークエンシング技術の発展により、多種多様な生物のゲノム情報が明らかになってきましたが、それら生命の設計図から、どのような分子が作られ、どうやって生命現象が創り上げられるのかはほとんど分かっておりません。微生物のユニークな免疫機構CRISPR-Casが革命的なゲノム編集技術をもたらしたように、この地球上には人類の抱える諸問題を解決する力を秘めた驚くべき生物システムがまだまだ眠っていると私は信じています。この信念をもとに、Artificial Intelligenceを活用して新しい機能を持つ生体分子を自然界より探索し、その解析と生物工学ツールへの改変を行い、次世代の治療法の開発を目指します。(第1期生、2025年1月1日着任予定)

理研ECL研究ユニットリーダー

藤代 有絵子

藤代 有絵子の写真
研究室名

創発物性科学研究センター 極限量子固体物性理研ECL研究ユニット
開拓研究本部 藤代極限量子固体物性理研ECL研究ユニット

研究課題

量子物質単結晶を用いた極限環境下での電子機能探索

自己紹介

固体中の電子が示す複雑な多体効果は、驚くべき予想外の現象をもたらします。私はこれまでにトポロジカルな磁気構造や電子構造における電子の振る舞いを研究してきました。その中で、物質パラメータ(例えば原子間距離や電子密度など)を自在に制御できたら、より魅力的な物性を出せるのではないかと感じることがしばしばあります。本研究ユニットでは、従来の合成法や既存の物質では到達できなかった量子相の実現を目指します。収束イオンビーム法によるマイクロスケールへの微細加工技術を駆使することで、高い電流密度や超高圧の印加、イオン液体を用いたキャリア数制御などを行い、広い意味での「極限環境」を量子物質中に創成することで、人類社会に貢献する新たな電子機能の発見をしたいと考えています。(第1期生、2024年4月1日着任)

朝吹 俊丈

朝吹 俊丈の写真
研究室名

脳神経科学研究センター 階層的神経計算理研ECL研究ユニット(2024年6月1日組織設置予定)
開拓研究本部 朝吹階層的神経計算理研ECL研究ユニット(2024年6月1日組織設置予定)

研究課題

階層的学習の基盤となる神経メカニズムの理解

自己紹介

私たちの脳は、新しい情報や経験を学び、それを以前の知識と組み合わせながら柔軟に適応することができます。このプロセスには、脳で表現される情報を階層的に整理・抽象化して外界の構造を学習する能力が欠かせません。これまで、私は神経細胞同士の接続が経験に応じて変化する「シナプス可塑性」の数理モデル化を通じて、神経回路が外界の構造を学習するメカニズムを探ってきました。今後は、複数の神経回路が協力して学習を行うシナプス可塑性モデルを構築し、これまでに得られている実験データを再現することで、柔軟な神経情報処理のしくみを理解することを目指します。(第1期生、2024年6月1日着任予定)

佐藤 尚子

佐藤 尚子の写真
研究室名

生命医科学研究センター 空間免疫制御理研ECL研究ユニット(2024年6月1日組織設置予定)
開拓研究本部 佐藤空間免疫制御理研ECL研究ユニット(2024年6月1日組織設置予定)

研究課題

微小環境変化により制御を受ける免疫応答の空間的理解

自己紹介

幼少の頃から重度のアトピー性皮膚炎であったことから、なぜ痒みが生じるのか、そのメカニズムは何かとの疑問を持ち、アレルギーと関わる免疫に興味を持ったことが研究者を目指すきっかけでした。この興味が、その後のユニークな免疫応答システムを持つ3型自然リンパ球という新しい細胞の発見に繋がりましたが、この3型自然リンパ球は微小環境変化による影響を強く受け、細胞を変化させます。今後は、組織における微小環境変化がどの様なメカニズムで免疫応答を制御するか、空間的認識から解明することを目指します。(第1期生、2024年6月1日着任予定)

村田 慧

村田 慧の写真
研究室名

環境資源科学研究センター 分子光触媒理研ECL研究ユニット(2024年9月1日組織設置予定)
開拓研究本部 村田分子光触媒理研ECL研究ユニット(2024年9月1日組織設置予定)

研究課題

可視・近赤外光を駆動力とする新規遷移金属触媒反応の開発

自己紹介

これまで遷移金属錯体を用い、二酸化炭素の資源化や薬剤分子の放出に資する可視・近赤外光反応の開発に取り組んできました。光反応は、自然界における光合成のように、太陽光エネルギーを利用して熱反応では一般に困難な反応プロセスを可能にすることから魅力的です。とりわけ光触媒は、こうした光化学過程に基質捕捉・生成物放出の過程を加えた反応サイクルの構築を通じて、光エネルギーを駆動力とする多様な分子変換を実現することから有用です。本プロジェクトでは、有機金属化学・光化学・生化学を基軸とする分野横断的な研究のアプローチにより、遷移金属光触媒を用いた分子変換反応の新しい方法論を開拓し、環境や医療分野をはじめとする社会問題の解決に貢献することを目指します。(第1期生、2024年9月1日着任予定)

石 東博

石 東博の写真
研究室名

環境資源科学研究センター 形成層幹細胞システム理研ECL研究ユニット(2024年10月1日組織設置予定)
開拓研究本部 石形成層幹細胞システム理研ECL研究ユニット(2024年10月1日組織設置予定)

研究課題

植物の持続的成長を可能にする幹細胞システムの解明

自己紹介

多くの植物はその生涯にわたって成長し続けることができます。幹細胞は植物の持続的な成長に重要な役割を果たしており、中でも形成層幹細胞は植物の二次成長の原動力となって、陸上植物の巨大化に貢献しました。形成層幹細胞はさまざまな細胞種へ分化しながら、自らを維持し、季節などの環境に応じて活性を変化させるなど、周りの細胞と協調して実に多様な機能を果たしますが、その仕組みの多くはまだ解明されていません。私たちはこの機構を明かすことで、成長における植物らしさを細胞レベルで理解し、動植物の生存戦略の違いを探っていきます。(第1期生、2024年10月1日着任予定)

シュパイデル 玲雄

シュパイデル 玲雄の写真
研究室名

数理創造プログラム 数理遺伝学理研ECL研究ユニット(仮)(2024年11月1日組織設置予定)
開拓研究本部 シュパイデル数理遺伝学理研ECL研究ユニット(仮)(2024年11月1日組織設置予定)

研究課題

ヒトの起源とゲノム進化を紐解く統計ツールの開発

自己紹介

我々のDNAは、何十万年の進化の痕跡を記録する、進化の「タイムカプセル」です。先祖の移動・混血・拡散、気候の変化や病原体、技術の進歩による新しい生活様式などへの適応、そして絶滅したネアンデルタール人との接触などが、DNAの変異として記録されます。現在、この進化がもたらした我々の健康への影響が、DNAと医療情報を記録する大規模な「バイオバンク」によって、世界各地で明らかにされ始めています。さらに、古代の人骨からDNAを抽出することが可能になり、過去数千年のゲノム進化を直接観測できるようになりました。私の研究は、これらのデータを活用し、ヒトの進化過程を紐解く統計ツールを開発しています。例えば、遺伝に基づく人類の系譜("DNA family tree")を再構築し、数百万年にわたるヒトの進化を辿ることを可能にしてきました。これらの新しい統計ツールと大規模なDNAデータにより、今日に伝わるヒトの進化の影響を明らかにしていくことを目指しています。(第1期生、2024年11月1日着任予定)

Top