2012年1月1日
フォトクロミック蛍光タンパク質、Dronpa
理研No. 06450
発明者
宮脇 敦史、安藤 亮子、水野 秀昭(細胞機能探索技術開発チーム)
背景
オワンクラゲやサンゴ、イソギンチャクに由来する蛍光タンパク質を使い、生体分子をラベルし可視化する技術は広く普及しています。しかし、一般的な蛍光イメージングは、蛍光シグナルの分布の定常状態を観察できますが、その動きに関してはほとんど情報をもたらしません。生体分子は絶えず動いており、その動きは条件によって変化し、外界の刺激を受けると動きのスピードが変化します。そこで、生体分子の動きの変化を経時的に追うために、光ラベルが何回も繰り返してできる技術が求められてきました。
概要
キッカサンゴから発見したタンパク質を改変することにより、単量体で機能し、かつ異なる2つの波長の光でラベルと脱ラベルを自在に制御できるフォトクロミック蛍光タンパク質「Dronpa(ドロンパ)」を開発しました。このタンパク質は、青色のアルゴンレーザー光(488nm)の照射により蛍光を消すことができ、紫色の半導体レーザー光(405nm)の照射によって蛍光を発することができます。
図1:Dronpaは光照射によって明暗状態を往来できる
図2:MAPKのEGFの有無による挙動解析
図3:ガラス基板上にDronpaを塗布し、488nm(矢頭)、405nm(矢印)レーザー照射によって、繰返し文字を描写
利点
- 可逆的に蛍光状態をオン、オフできるため、同一細胞内で生体分子の挙動を繰返し観察可能
応用
- 生体分子の挙動を指標とした医薬品のスクリーニング
文献情報
- 1.特許第4695073号、米国特許第7897385号、米国特許第8034614号、EP第1767635号 他
- 2.Ando R, et al., Science. 2004 Nov 19;306(5700):1370-3.
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