1. Home
  2. 産学連携
  3. 知的財産情報

2014年5月20日

保持温度を自由に選択できる新しいタイプの蓄熱材

理研No. 07602, 08146

発明者

新髙 誠司、河野 公俊(河野低温物理研究室)、宮野 雅司(宮野構造生物物理研究室)、髙木 英典(高木磁性研究室)

背景

蓄熱・蓄冷材とは、例えば温度を0℃に保つことのできる「氷」のような、物質の大きな熱容量(温度のかわりにくさ)を利用して、接触する物の温度を一定に保つ材料です。しかし、従来開発されてきた蓄熱材は、すべて固液相転移時の転移エンタルピーを利用するため、液化や大きな体積変化により容器に制約がある、熱伝導率が小さいため熱応答が悪い、蓄熱材自体が分解する、保持温度が物質固有の相転移温度に制限される、などの問題点がありました。

概要

[様々な金属元素Mで置換した二酸化バナジウムVO2の蓄熱特性 (M=W,Re,Mo,Ru,Nb,Ta)]

遷移金属化合物セラミックスを蓄熱材として採用しました。V0.977W0.023O2の保冷テスト結果は、大気22℃下で0℃に保冷する能力が、同じ温度化で0℃に保冷する氷の能力と同等であることを示しています。また、室温付近だけでなく、低温(-200℃以下)から高温(100~400℃)で保持できる蓄熱材も存在します。

保持温度と保持能力の図

図1:保持温度と保持能力の評価

置換基と転移温度の図

図2:置換基と転移温度の関係

転移温度と転移熱の図

図3:転移温度と転移熱の関係

保冷テストの図

図4:V0.977W0.023O2の保冷テスト

利点

  • 熱伝導率が高く、熱応答性が高い
  • 固相に転ずることなく常に固相状態で使用できるため、体積変化が小さく、容器の制約も少ない
  • 半永久的に繰り返し使用可能
  • 保持温度を自由に選択することができる(例として-118℃~207℃)

応用

  • 電子材料、機器の構造材、建材、家具、生活用品など、急激な温度変化の好ましくない用途
  • 輸送時の温度上昇・下降の低減を必要とする用途

文献情報

  • 1.特許第5688725号、特許第6032686号
  • 2.特許第6153194号、PCT/JP2014/060695

知的財産情報に関するお問い合わせ

理化学研究所
お問い合わせフォーム

Top