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2012年11月1日

強相関酸化物を用いた新しいスイッチング素子

理研No. 07945

発明者

中野 匡規、畑野 敬史、小野 新平、岩佐 義宏、渋谷 圭介、川崎 雅司、十倉 好紀(交差相関物性科学研究グループ)

概要

スイッチング素子のグラフの画像

本技術は、従来の固体誘電体の代わりに固体・電解質界面に自発的に形成される「電気二重層」を利用することで、強相関酸化物の性質を電圧で制御する方法を提供します。プロトタイプとして代表的な強相関酸化物である二酸化バナジウム(VO2)を用いたデバイスを作製したところ、たった1V程度の電圧で絶縁体から金属に変化(相転移)し(右図)、その前後で結晶構造も変化すること、この電圧で誘起した低抵抗状態(金属状態)は電圧を遮断しても長時間保持され、不揮発性を示すことが分かりました(右挿入図)。さらに、絶縁体状態と金属状態では赤外線領域の光透過性が大きく異なり、電圧でスイッチング可能な熱線カットフィルターとしても利用できることが分かりました。従来のシリコンをベースとしたFETは、単に電気抵抗をスイッチする素子ですが、強相関酸化物をベースとするFETは、それに加えて結晶構造や光透過性もスイッチ可能であることが明らかになりました。

利点

  • 乾電池程度の低い電圧で巨大な抵抗変化を実現可能
  • 電圧によるエネルギー損失の少ないスイッチングが可能
  • 電気的性質に加えて結晶構造や光透過性もスイッチング可能

応用

  • 超低消費電力トランジスタ
  • 不揮発性メモリ
  • 光スイッチ

文献情報

  • 1.特許第5717096号
  • 2.M. Nakano et al. Nature 487, 459 (2012).

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