2014年2月10日
g-C3N4 薄膜化技術 -高機能メタルフリー光触媒の開発-
理研No. 08105
発明者
荒添 弘樹、宮島 大吾、相田 卓三(創発ソフトマター機能研究グループ)
背景
真の循環型社会の実現には、これまで希少元素に頼ってきた機能を地球上に豊富に存在するユビキタス元素で実現することが不可欠です。グラフィティック・カーボンナイトライド-Graphitic Carbon Nitride(g-C3N4)は、水素、炭素、窒素のユビキタス元素からなるメタルフリー光触媒であり、水の分解、有機物除去、センサーなどの特性を持つことから、近年非常に注目を浴びている材料です。しかしg-C3N4は溶媒に溶けない粉末であり、g-C3N4シートの配向が制御された薄膜は一切報告がありませんでした。
概要
グアニジン炭酸塩を用いた蒸着重合という手法を用いて、g-C3N4 シートが基材に対して平行に配向した薄膜の開発に成功しました。 ガラス、透明電極、シリコンウェハー、炭素材料に直接薄膜を作成することが可能であり、光触媒として機能します。さらに g-C3N4 は半導体特性を有するので、薄膜にすることで粉末状では困難であったデバイス材料への展開も期待できます。

図1:グラフィティック・カーボンナイトライド (g-C3N4)

図2:蒸着重合とg-C3N4薄膜
利点
- 毒性が低く、豊富に存在し、破格に安い原料
- 真空装置、特別な技術を必要とせず、誰でもできる簡便さ
- 大面積に作成可能
応用
- 水素製造用光触媒
- 光触媒コーティング
- デバイス材料
文献情報
- 1.PCT/JP2013/84543
- 2.Wang, X; Maeda, K.; Thomas, A.; Takanabe, K.; Xin, G.; Carlsson, J. M.; Domen, K.; Antonietti, M. Nature Mater. 2009, 5, 76-80.
知的財産情報に関するお問い合わせ
理化学研究所
お問い合わせフォーム