2017年8月10日
細胞分化・増殖制御のための微細な凹凸構造
理研No. 08161
発明者
三好 洋美(健康・病態科学研究チーム)
背景
細胞の分化、生存、増殖、免疫活性制御などを、液中の化学因子で制御できることが知られています。しかしながら、化学因子が拡散性を有するために、化学因子を用いて細胞の分化などを安定かつ精緻(せいち)に制御することは容易ではありません。また、制御対象である細胞を生体に移植するときに、化学因子が残存すると生体に悪影響を及ぼすおそれもあります。
概要
多くの細胞は足場に接着して生存します。私たちは、マイクロメートルオーダーの微細(びさい)凹凸構造に対して細胞が応答する性質を利用して、細胞の分化状態や増殖性を安定かつ精緻に制御する方法を開発しました。組織再生足場材料、細胞培養容器、創薬スクリーニングプレートの細胞培養表面に、特定の凹凸構造を付与することで、これらの生体材料の機能向上を図ることができます。

図1:「応用例:細胞培養容器・生体組織再生用の足場材料」

図2:「メカニズム:微細凹凸構造による細胞形態の変化が細胞分化・増殖に影響 」
利点
- 細胞増殖、分化の効率と安定性を向上
- 動物由来成分を含まない生体材料
- 様々な生体材料の機能向上に貢献する基盤シーズ技術
応用
- 細胞培養容器(実験室から再生医療の現場まで)
- 生体組織再生用の足場材料
- 創薬スクリーニングプレート
文献情報
- 1.特願2013-138298
- 2.三好 洋美.(2017)バイオマテリアル-生体材料-, vol.34, pp.132-137「遺伝情報選択における力のバイオマテリアル制御」
- 3.Miyoshi H et al.(2017)J. Biomech. Sci. Eng., vol.12, p. 16-00613“Cell migration guided by a groove with branches”
- 4.Miyoshi H and Adachi T.(2014)Tissue Eng B, vol.20, pp.609–627“Topography Design Concept of a Tissue Engineering Scaffold for Controlling Cell Function and Fate Through Actin Cytoskeletal Modulation”
知的財産情報に関するお問い合わせ
理化学研究所
お問い合わせフォーム