1. Home
  2. 産学連携
  3. 知的財産情報

2015年8月25日

暗視野X線タイコグラフィによる高分解能・高感度イメージング

理研No. 08361

発明者

髙橋 幸生、鈴木 明大、下村 啓、広瀬 真(構造可視化研究チーム)

背景

X線タイコグラフィは、試料にコヒーレントX線を照射した際に観測される回折強度パターンに位相回復計算を実行し、試料像を取得するレンズレスイメージング技術です。X線タイコグラフィは原理的に高い空間分解能と感度を達成可能なX線イメージング技術で、現在、放射光施設を中心に盛んに研究されています。X線タイコグラフィで細胞などの軽元素で構成される試料を高分解能・高感度観察するためには、大きなダイナミックレンジで回折強度パターンを取得することが必要であり、これが技術的な課題となっています。

概要

暗視野X線タイコグラフィは、試料の上流に微小円柱構造体を配置し、円柱構造体からの散乱X線を参照光とするインラインホログラムを回折強度と同時に取得します。従来のX線タイコグラフィ技術と比べて、暗視野X線タイコグラフィでは、目的の空間分解能・感度を達成するために必要な回折強度のダイナミックレンジが大幅に圧縮されるため、空間分解能・感度を飛躍的に向上させることが可能です。

X線タイコグラフィの概念図の画像

図1: X線タイコグラフィの概念図

暗視野X線タイコグラフィの概念図の画像

図2:暗視野X線タイコグラフィの概念図

従来のX線タイコグラフィと暗視野X線タイコグラフィによる再構成像の図

図3:従来のX線タイコグラフィと暗視野X線タイコグラフィによる再構成像(計算機シミュレーションによる結果)

利点

  • 10マイクロメートルサイズの試料を10ナノメートルの分解能で非破壊観察可能
  • 電子顕微鏡では観察の難しい厚い試料を高分解能で観察が可能

応用

  • 触媒材料やエネルギー変換素子等の機能性材料の観察
  • 細胞などの生体試料の観察

文献情報

  • 1.特願2015-012864

知的財産情報に関するお問い合わせ

理化学研究所
お問い合わせフォーム

Top