2016年3月15日
メタマテリアルを用いた高感度赤外線センサー・撮像素子
理研No. 08367
発明者
田中 拓男(田中メタマテリアル研究室)
背景
赤外線は、光子のエネルギーが低いため、周囲環境からのノイズの影響が大きくS/N比を高くすることが困難です。そこで、検出素子の受光面積を大きくして信号強度を稼ぐという手法が一般に用いられますが、その結果、1つ1つの素子のサイズが大きくなります。特に、赤外線カメラに用いられる二次元撮像素子では、素子全体のサイズが大きくなるか、限られたサイズの素子の中に集積化できる画素数が低くなるという課題があります。
概要
本発明は、従来よりも小型かつ単純な構成で赤外線を高感度に検出する新たな素子に関するものです。この素子は赤外線を選択的に吸収する部位と、温度の変化に応じて可視光の吸収波長が変化する共振器部とで構成されています。赤外線の照射・吸収によって発生する温度変化で可視光メタマテリアル共振器の共鳴吸収波長が変化するので、色もしくはスペクトルの変化として、赤外線を検出できます。素子のサイズは、赤外線の波長かそれよりも小さいのため、従来技術と比較して小型化、画素化が実現できます。
図1:赤外線素子の構造
図2:赤外線素子を集積化した撮像デバイス
図3:三次元共振器素子の試作例
利点
- 赤外線の照射を可視光のスペクトル変化として直接検出
- 従来技術と比較して小型化,高画素数化が可能
- 共振器素子を使うため高感度化が可能
応用
- 小型高感度赤外線検出器
- 小型高解像赤外線撮像デバイス
文献情報
- 1.特願2015-031497
- 2.Che-Chin Chen, Atsushi Ishikawa, Yu-Hsiang Tang, Ming-Hua Shiao, Din Ping Tsai, and Takuo Tanaka, "Uniaxial-isotropic Metamaterials by Three-dimensional Split-Ring Resonators," Advanced Optical Materials 3, pp. 44-48 (2015).
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