2015年12月21日
色調が二段階に大きく変化するロイコ色素の新技術
理研No. 08435
発明者
村中 厚哉、白崎 良尚、内山 真伸(内山元素化学研究室)、神野 伸一郎(次世代イメージング研究チーム)
背景
ロイコ色素は、有色と無色を切り替えられる色素のことです。安価・安定であることから感熱紙、消せるボールペン、リライタブル印刷などに利用されています。また、電子ペーパーなど表示装置への応用も盛んに研究されています。しかし、一つの色素は一つの色しか出せないため、複数色の利用は色素の混合などが必要という問題がありました。
概要
ロイコ色素の骨格を二つ繋げた新規パイ電子系化合物のアミノベンゾピラノキサンテン系色素(iso-ABPX)を開発しました。無色のiso-ABPXは、酸やフェノール性化合物によって桃色から青緑色までの色を示し、その濃度や周囲の温度によって無色・桃色・青緑色の三つの色調をコントロールできます。
図1:ロイコ色素の一般構造とその用途
図2:iso-ABPXの一般構造とその色調変化
利点
- 単一の色素で三つの色調
- 置換基によって酸・温度との応答性が変化
- 従来のロイコ色素と同様の発色機構
応用
- フェノール性化合物の検出試薬
- 変色・消去可能な筆記具
- サーモクロミズムを利用した温度センサーや玩具
- リライタブル印刷
文献情報
- 1.PCT/JP2016/075850
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