2018年6月28日
内部流路を有する手の平サイズのガラス製ツール
理研No. 08731
発明者
船野 俊一、太田 亘俊、田中 陽(集積バイオデバイス研究ユニット)
背景
手の平サイズの基板上に指紋サイズの極めて微細な流路を作製し、化学、生化学機能を集積した「マイクロ流体チップ」は、化学合成や医療診断等において小型、高効率、高速を実現する次世代ツールとして期待されています。しかし、マイクロ流体チップには、1つの流路空間に1つの機能しか区画付与できないという問題がありました。そのため、1枚のマイクロ流体チップに複数の化学、生化学機能を集積する手法の開発が求められています。
概要
微細な流路に複数種類の機能物質や生体材料を区画定着させた後に、2枚のガラスを貼り合わせることで1枚のマイクロ流体チップに複数の化学、生化学機能を集積することに成功しました。具体的には、複数種類のタンパク質と細胞の区画定着、維持に成功しました。

図1:本件マイクロ流体チップの概要

図2:流路空間内に区画定着されたタンパク質および細胞の写真
利点
- 微小内部空間に区画して複数機能を付与可能
- 乾燥に弱い材料を定着可能
- 高校の設備で作製可能
応用
- 細胞定着:省試料、省培地での複数種類の細胞培養
- 触媒定着:高効率な化学合成反応
- タンパク質、低分子定着:高速分析、医療診断
文献情報
- 1.特願2018-178124
- 2.Chemical Communications, 2017, 53, 11193-11196.
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