2018年12月6日
自然動画からの動き抽出システム
理研No. 08832
発明者
鈴木 航、一戸 紀孝 (高次脳機能分子解析チーム)、竹市 博臣(計算工学応用開発ユニット)
背景
動画中の特徴量の動き、すなわちオプティカルフローの検出では、定型計算を行う勾配法の拘束方程式が不良設定であることから、制約条件として仮定をおく代表的な方法として「Lucas-Kanade法」や「Horn-Schunk法」があります。この技術開発では、生物(霊長類)の視覚システムを念頭に、より少ない仮定で、より広い範囲の動画を対象としたオプティカルフローの計算ができないか、考えました。
概要
VDUNV法(Suzuki et al. 2017)は、任意の自然動画から、少ない仮定で霊長類にとって自然な運動情報を抽出する方法です。この技術開発では、VDUNV法を発展させ、オプティカルフローを求めるアルゴリズムを新たに開発しました。VDUNV法で計算したベクトル場を特徴量とみなし、動画内で次々とマッチングさせる、というものです。

図1:抽出例
利点
- 任意の動画(人の社会的行動の動画など)に適用可能
- マッチングの候補の制限で実装が簡便化
- 「Lucas-Kanade法」や「Horn-Schunk法」より少ない制限条件
- 学習データ不要
応用
- 医療機器・ヘルスケア(障害の診断および進行・回復の評価)
- 監視システム(動き情報の特徴に基づく対象やイベントの検出)
- 画像システム(機械学習の前処理・匿名化処理)
文献情報
- 1.特願2018-138717
- 2.Suzuki, W, Ichinohe, N, Tani, T, Hayami, T, Miyakawa, N, Watanabe, S, Takeichi, T (2017) Novel method of extracting motion from natural movies, Journal of Neuroscience Methods, Volume 291, Pages 51-60, https://doi.org/10.1016/j.jneumeth.2017.08.006 (9 August 2017)
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