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2022年8月31日

超高感度分析を可能にする新しいSERS分析手法 -液界面支援SERS(LI-SERS)-

理研No. 09143

発明者

杉岡幸次(先端レーザー加工研究チーム)、白石(先端レーザー加工研究チーム)

背景

「表面増強ラマン散乱(SERS)」は、微量の物質を高感度に分析できる手法として広く利用されています。その検出限界濃度はナノモーラー(nM, 10-9モーラー)レベルです。フェムトモーラー(fM, 10-15モーラー)以下の検出を行うために、いくつかの新しい手法が提案されていますが、装置や測定方法が複雑である、あるいは瞬間的にしか高い検出感度が得えられないといった問題があります。

概要

本発明は、新しい形態のSERS分析方法を提供するものです。液体試料と空気の界面をSERS基板上に形成し、その界面でSERS分析を行う(液界面支援SERS: LI-SERS)ことにより、10アトモーラー(aM、10-17モーラー)以下の濃度の超微量物質の検出を実現します。さらに、DNAやアルツハイマー病のマーカーであるアミロイドβなどの大きな質量の生体分子に対しても、超高感度分析を行うことができます。

LI-SERSの実施形態の模式図の画像

図1:LI-SERSの実施形態の模式図

LI-SERS による超高感度分析のメカニズムの図

図2:LI-SERSによる超高感度分析のメカニズム

 LI-SERSによるアトモーラーセンシング(試料:ローダミン6G)の図

図3:LI-SERSによるアトモーラーセンシング(試料:ローダミン6G)

利点

  • 従来技術と比較して桁違いの検出感度(アトモーラーレベル, aM, 10-18 M)を実現
  • 検出において特別な装置を必要とせず、従来のラマン分光装置が利用可能(簡便な分析)
  • SERS基板自体の高感度化により、さらなる検出感度の向上が可能

応用

  • 超微量物質の検出(学術用途、環境測定(汚染物質検出)、食品安全検査、他)
  • 病気(例えばアルツハイマー病)の早期診断
  • ウイルス・細菌の、迅速かつ高感度感染検査

文献情報

  • 1. 国際出願番号PCT/JP2021/021620
  • 2. S. Bai, D. Serien, Y. Ma, K. Obata, and K. Sugioka, “Attomolar Sensing Based on Liquid-Interface Assisted Surface Enhanced Raman Scattering in Microfluidic Chip by Femtosecond Laser Processing”, ACS Appl. Mater. Interfaces, 12, 42328–4233 (2020).
  • 3.S. Bai, X. Ren, K. Obata, Y. Ito, and K. Sugioka, “Label-free trace detection of bio-molecules by liquid-interface assisted surface-enhanced Raman scattering using a microfluidic chip”, Opto-Electron. Adv. (in press)

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