メタマテリアル発色体を用いたウイルス検出デバイス
- 実施センター
- 理化学研究所 光量子工学研究センター フォトン操作機能研究チーム
- 実施代表・実施者等
- 田中 拓男 チームリーダー
研究概要
- 問1:研究の概要を教えてください。
- ウイルスの存在をデバイスの色の変化で目視でも確認できる高感度な生体分子検出デバイスを開発しようとしています。
- 問2:なぜこの研究を行おうと思ったのでしょうか。
- もともと私たちはナノメートルスケールの金属構造体を用いた構造発色体の技術を持っていました(2017年4月26日プレスリリース「アルミニウムのナノ構造体で「色」を作る」)。この構造体は、周囲の屈折率の変化に対して敏感にその色が変化します。この原理をつかって、ウイルスもしくはウイルスが持つ分子などの存在を色の変化として検出できるデバイスができるのではないかと考えました。
- 問3:どういった方法でそれらの問題を克服するのでしょうか。
- 私たちが開発した構造発色体は上下2つの金属構造が特定の間隔で結合したときに、その構造に応じた色を発色します。この技術を使い、例えば抗原ー抗体反応のような特定の生体分子が結合する現象を用いて、この構造発色体を自己組織的に形成させることで色を生み出すというデバイスの開発を進めています。
- 問4:現時点でどこまで分かっているのでしょうか。
- 金属ナノ構造と色の対応関係は明らかにしました。また分子の抗原ー抗体反応によって金属構造を結合させることにも成功しています。今は生体分子の結合によって最も大きく色が変化するように構造の最適化を行っています。
- 問5:今後の課題を教えてください。
- 生体分子の検出感度の限界を明らかにするとともに、実際の新型コロナウイルスを用いて、検出感度や再現性を確認する必要があります。
2021年9月8日更新