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研究最前線 2021年5月11日

植物ホルモン解析の達人! 情熱と技術で研究を支える

実験を担当する技術系職員は、研究をスムーズに進めるために欠かせない存在です。高度な技術だけでなく、研究者の頭の中にあるイメージを正確に読み解いて、それを実現する道筋を見つけ出す力も必要とされます。植物ホルモンの解析を行う小嶋美紀子専門技術員は、「研究に貢献したい」一心で、独自の解析手法を確立。海外の研究者からも厚い信頼が寄せられています。

小嶋 美紀子専門技術員の写真

小嶋 美紀子(こじま みきこ)

環境資源科学研究センター
技術基盤部門 質量分析・顕微鏡解析ユニット
専門技術員
1977年生まれ。東北大学農学部応用生物科学科生物制御科学講座卒業。2001年より理研 植物科学研究センターのテクニカルスタッフに。環境資源科学研究センター生産機能研究グループなどを経て、2018年より現職。

分析機器のメンテナンスと共に重要な研究者とのコミュニケーション

「一つのサンプルから、およそ50種類の植物ホルモンの測定をします。ありがたいことに、多くの研究に携わらせていただいています。測定を待っているサンプルがたくさんあります」と小嶋専門技術員。

国内外から送られてくるサンプルは、年間約3,000個。プラスチック製のチューブに入った一つ一つのサンプルには、変異株ごと、葉や根、茎や花などの部位ごと、あるいは刻々と変化する時間ごとに植物体内の変化を見ようとする研究者たちの期待が込められている。

依頼されたサンプルから正確なデータを得るためには、常に分析機器のメンテナンスを行い、正常な状態を保つ事がとても重要な業務になる。ただ、それだけでは正確なデータは得られない。サンプルは、植物ホルモン測定に適した方法で採取・調整され、かつ損傷なく受け渡される必要がある。そのためには研究者の協力が不可欠で、サンプリング方法を細かに記したマニュアルを作成し、さらには短時間で正確に理解してもらえるようWebページの作成も行った。

とはいえ、研究者と直接コミュニケーションを取ることも重要だ。対話によって、より意義のある解析サンプルを得るためのアドバイスができることもある。実はコロナ禍でリモートワークが進んだことが、良い方向に向かうきっかけとなった。「これまでなかなか打ち合わせができなかった遠方の研究者とも、モニター越しに直接話ができるようになりました」

高速液体クロマトグラフィー・質量分析装置の図

高速液体クロマトグラフィー・質量分析装置

研究を支えたい。その一心で技術を極める

大学卒業後に理研の技師となった小嶋専門技術員は、当時グループディレクター(GD)を務めていた名古屋大学の榊原均教授のもとで一から技術を学んだ。どんな状況でも投げ出すことなく必ず解決の方法を見出す責任感の強さと情熱は、やがて実を結ぶ。わずかな量のサンプルから精度高く、しかも50種類もの分子を一度に解析できる画期的な方法を確立したのだ。

この技術によって、遺伝学的なデータに加え、精度の高い植物ホルモン定量データを統合することができ、植物ホルモンの一つ、サイトカイニンが植物の成長にどのように作用するのか、そのメカニズムの解明に大きく貢献した。

この解析法を解説した論文は2009年、小嶋専門技術員が筆頭著者になり発表された。その後、『米国科学アカデミー紀要』や『ネイチャー』に掲載された論文など、じつに100本以上の論文に共著者として名を連ねている。そして、2016~2020年までの5年間で世界の「高被引用論文著者」に4回も選出されるという名誉に輝いた。

もっともっと研究者に貢献したいという思いから、現在は博士号取得も目指している。

「技術面だけでなく、研究の内容に関する知見を提供して、役に立てたらと思っています」

小嶋 美紀子専門技術員の写真

多くの研究者が信頼を寄せる小嶋専門技術員。研究者を思いやるその仕事は丁寧で自然体だ。

(撮影:相澤正。/制作協力:サイテック・コミュニケーションズ)

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