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2022年11月18日

理化学研究所

スーパーコンピュータ「富岳」を利用した国際共同研究チームの研究成果が「ゴードン・ベル賞」を受賞

-「富岳」の高い総合性能に国際的評価-

理化学研究所(理研)計算科学研究センター(R-CCS)に設置されているスーパーコンピュータ「富岳」[1]を利用した共同研究成果が、高性能並列計算を科学技術分野へ適用することに関してイノベーションの功績が最も顕著と認められた成果に与えられる米国計算機学会の「ゴードン・ベル賞[2]」を受賞しました。

受賞したのは、CEA(フランス)、Lawrence Berkeley National Laboratory(アメリカ)、ARM(フランス)、ATOS(フランス)、CNRS(フランス)、GENCI(フランス)、理研の国際共同研究チームが進める研究成果で、理研からはR-CCSプログラミング環境研究チームの佐藤三久チームリーダーが参加しています。

こうした海外の研究機関が参加するチームによる研究成果が日本のスーパーコンピュータを利用してゴードン・ベル賞を受賞するのは初めてのことで、「富岳」の国際的な利用の広がりを示すものです。今回の受賞は、プラズマシミュレーションのアプリケーションであるWarpXについて、「富岳」を始め、最新の米国のスーパーコンピュータ「Frontier」など最先端のスーパーコンピュータの性能を比較する中で、「富岳」の総合的な性能の高さについて国際的な評価がなされており、今後、世界の研究者が「富岳」を使って様々な社会課題やSDGs[3]の達成に貢献していくことが期待されます。

ゴードン・ベル賞の発表は米国テキサス州ダラスのケイ・ベイリー・ハッチソン・コンベンション・センター・ダラスおよびオンラインで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「SC22」において、現地時間11月17日付(日本時間11月18日)で発表されました。

ゴードン・ベル賞の発表は米国テキサス州ダラスのケイ・ベイリー・ハッチソン・コンベンション・センター・ダラスおよびオンラインで開催中のHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング:高性能計算技術)に関する国際会議「SC22」において、現地時間11月17日(木)12時45分(日本時間11月18日(金)午前3時45分)より行われました。

研究支援:
本研究の一部は、文部科学省「富岳」の調整・高度化・利用拡大課題「仏国CEAソフトウエアとアプリケーションの最適化と評価による富岳のユーザビリティの高度化」(課題番号;ra010013 課題代表者:佐藤 三久)を通じて「富岳」の計算資源の提供を受けて実施しました。

国際共同研究チームの画像

国際共同研究チーム

受賞対象の研究概要

研究課題名

エクサスケール級スーパーコンピュータによる画期的な格子細分化法粒子シミュレーションを用いたレーザー電子加速器の設計の最前線開拓

概要

「Frontier」、「富岳」、「Summit」(米国)、「Perlmutter」(米国)の各スーパーコンピュータ上で最適化した世界初の格子細分化法[4]超並列PIC(Particle-In-Cell)コード[5]について述べる。WarpX PICコードに実装された主な技術革新は以下の通りである。(i) 数百万のA64FXコアと数万のAMDおよびNvidia GPUに対して、性能移植性とスケーリングを実現した3レベルの並列化戦略 (ii) 本論文注1)で報告した例で計算に必要な計算量を1.5倍から4倍削減することができる画期的な格子細分化法 (iii) 複数のメッシュ細分化のレベル間の効率的な負荷分散戦略、である。メッシュ細分化 PICコードは、「Frontier」、「富岳」、「Summit」において、レーザーと物質の相互作用の3次元シミュレーションを可能にするものである。これらのシミュレーションは、小型レーザー電子加速器の限界を大きく進展させるもので、この加速器は次世代高エネルギー物理学実験や超高線量率FLASH放射線治療に用いられることが期待される。

R-CCS松岡聡センター長のコメント

この度、昨年のゴードン・ベル賞COVID-19特別賞[6]に続き、二年連続でスーパーコンピュータでは最高峰の賞の一つであるACMゴードン・ベル賞が「富岳」を用いた研究に授与されたのは大変喜ばしい次第です。特に、同賞は価値が高い科学的な成果を得ることが重要な判断基準になるので、今回の半数のファイナリストが「富岳」を用い、その一つが受賞したことは、「富岳」がアプリケーションファーストの精神で設計されていて、単に人工的なベンチマークで高速であるだけではないことを示しており、今後の日本のスパコンの利用からその進化まで、重要な指針を与えていると思います。

関連リンク

補足説明

  • 1.スーパーコンピュータ「富岳」
    スーパーコンピュータ「京」の後継機。2020年代に、社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とし、電力性能、計算性能、ユーザーの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAIの加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータとして2021年3月に共用を開始した。現在「富岳」は日本が目指すSociety 5.0を実現するために不可欠なHPCインフラとして活用されている。
  • 2.ゴードン・ベル賞
    アメリカ計算機学会(ACM)が主催する、大規模な高性能並列コンピュータシステムを科学技術分野へ適用することに関してイノベーションの功績が最も顕著と認められた成果に与えられる賞。1987年に設立。
  • 3.持続可能な開発目標(SDGs)
    2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17のゴールと169のターゲットで構成され、発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本も積極的に取り組んでいる。(外務省ホームページから一部改編して転載)
  • 4.格子細分化法
    偏微分方程式を差分法を用いて解くとき、細かい格子が必要な部分だけに選択的に細かい計算格子を用い、それ以外の部分には粗い計算格子を用いる方法。
  • 5.超並列PIC(Particle-In-Cell)コード
    Particle-in-Cell(PIC、セル内粒子)コードとは、特定の問題における偏微分方程式を解く方法の一つで、個々の粒子(または流体要素)と、その粒子が作用する電磁場などを計算するための計算格子を設定し、計算格子で表現されている場から粒子への作用と、粒子から場への作用を交互に繰り返すことによって、問題を解く方法。
  • 6.ゴードン・ベル賞COVID-19特別賞
    アメリカ計算機学会(ACM)が主催。ハイパフォーマンス・コンピューティングの活用による研究成果の中でも、特にCOVID-19パンデミックの解明に向けた計算手法の性能と革新性に優れた研究成果を表彰する賞。

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