理化学研究所(理研)では、「RIKEN's Vision on the 2030 Horizon」の方針の下、昨年「新たな若手研究者育成・支援策の実行について」を公表し、未来を託すに足る次世代の優れた研究者の育成・支援を行い、国際頭脳循環の場として更なる飛躍を目指すことを宣言しました。その中核を担う施策として、PI経験の無い、あるいはPI経験の浅い、優秀な研究者のためのPI育成制度、「理研ECL制度(RIKEN Early Career Leaders Program)」を創設しました。初めての公募選考を昨年に実施し、今年度、国内外の研究機関から厳正なる審査を突破した有望な若手PIが1期生として着任します。
理研ECL制度では、これまで国際頭脳循環の一翼を担ってきた理研白眉制度の理念を継承し、優れた女性PIに向けた加藤セチプログラムを展開しており、これまでの支援の在り方を見直してより充実した支援を実施します。今年度着任する1期生における女性PIの割合は高く、理研ECL制度及び加藤セチプログラムは理研のダイバーシティ実現のためにも重要な人事施策の一つとなっています。しかしながら、理研全体を見ると、女性PI比率は10%を下回り、昨年12月に行われた外部評価でも指摘された通り、国際レベルと比較しても極めていびつな男女構成となっています。また、日本全体でも研究者に占める女性の割合は低く、女性PIの数も国際水準にはほど遠い現状にあります。
理研は、こうした現状を打破し、日本全体のダイバーシティ実現に寄与する試みの一環として、今年度の理研ECL制度において、加藤セチプログラムに限った公募を行うことを決断しました。
今回の公募の最終目的である男女比率の適正化は、あらゆる属性の研究者にとって、より働きやすく創造的な研究環境を実現するものです。理研ECL制度では、未来の科学を担う素質がある傑出した若手研究者をPIとして登用します。また、加藤セチプログラムのもとでは、自らの研究を推進するための十分な支援と、研究に集中できる環境を実現するための配慮を行います。このようにして、世界的に卓越した研究者たちが集う理研において、新しい分野を切り拓く次世代の国際的リーダーの育成を積極的に推進してまいります。
公募内容(検討中の内容含む)
- 日程
- 2024年7月公募開始予定(約3ヶ月間)
- 着任
- 2025年9月1日から2026年4月1日
- 対象
- 女性限定(加藤セチプログラム)
- ※男女雇用機会均等法第8条(女性労働者についての措置に関する特例)に基づいた公募です。
- ※応募にあたっての年齢制限は設定しません。
- ※来年度(2026年度採用公募)は、性別不問の公募も実施します。なお、ダイバーシティ実現に向けた施策は今後も続けてまいります。
- 職種
- チームリーダーあるいはユニットリーダー
- 研究分野
- 自然科学(数理科学を含む)、自然科学と人文・社会科学との境界領域・融合領域。
- 処遇
- 任期制。任期中に、無期登用審査を申し出ることができます。
- 審査基準
- 提案された研究課題の、学術的・社会的重要性、独創性・革新性、実現可能性(研究方法・計画の妥当性、これまでの業績・成果)などに基づきます。
- スタートアップ
- 通常の研究費に加えて、ラボの立ち上げ支援として、十分なスタートアップ費を支援します。
- メンター
- 理研ECL制度では、若手PIに対して経験が豊富なメンターを2名配置し、研究室運営に関する各種相談を行うことができます。
- 支援策
- 女性研究者のさらなる活躍を推進するために、通常の予算に加え、毎年1,000万円を上限とする追加研究費を支給することが可能です。
- 産前産後休業・育児休業を取得した場合、その分の任期延長が認められます。
- 理研では全所的な取り組みとして、事業所内託児所(和光、横浜、神戸)、研究中断からの復帰支援、妊娠・育児・介護中の研究支援者人件費助成など、各種仕事と生活の両立支援制度を充実させております。
- 夫婦帯同雇用を希望される場合など、不明点がございましたら応募時にご相談ください。