2024年12月5日、理化学研究所 環境資源科学研究センター(CSRS)は、SDGs推進に取り組んでいるジャーナリストの国谷 裕子 氏をお招きし、特別講演会「国谷さんと考えるSDGs」を和光事業所で開催しました。
持続可能な社会の実現に向けたSDGsの17の目標には、地球環境やエネルギー、水といった自然科学のアプローチが有効な課題だけでなく、人権や不平等などの社会的・経済的な課題も含まれています。そして両者は密接に関連しています。SDGsの達成には、自然科学のみならず、人文・社会科学を含めたさまざまな視点が不可欠であることから、国谷氏に、これまでの取材や人文・社会科学の見地からSDGsについてお話しいただきました。
また、女性が働く環境や制度が整っていなかった時代からのパイオニアとしてのご経験を踏まえ、ダイバーシティやインクルージョンの推進には、どのような意識改革が必要なのかといった話題にも触れていただきました。

国谷 裕子 氏

会場の様子
この特別講演会を通して、SDGsを自然科学研究の指針としてだけでなく社会全体として取り組む必要があること、研究に携わる一人ひとりが自分ごととして捉えることの重要性、そして、地球温暖化やグローバル・コモンズ保全といった喫緊の課題解決に理研はどのように貢献していくべきかについて、改めて考える機会となりました。
国谷裕子(くにや・ひろこ)氏プロフィール
東京藝術大学理事、慶應義塾大学大学院特別招聘教授、自然エネルギー財団理事、国連・食糧農業機関(FAO)親善大使(日本担当)
1989年からNHK衛星放送「ワールドニュース」キャスター、NHK総合テレビ「クローズアップ現代」キャスターを1993年から2016年3月まで務めたほか、NHKスペシャルなどのキャスターとしても活躍。2016年からSDGs(持続可能な開発目標)の取材・啓発に取り組み、理事を務める東京藝術大学では2021年6月にSDGs推進室を立ち上げた。1998年の放送ウーマン賞をはじめ、菊池寛賞(2002年)、日本記者クラブ賞(2011年)、ギャラクシー賞特別賞(2016年)などを受賞。著書に、『キャスターという仕事』(岩波新書)、『クローズアップ藝大 国谷裕子+東京藝術大学』(河出新書)等。