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2025年11月27日

理化学研究所

吸血蚊のアミノ酸代謝ダイナミクスを解明

-蚊の栄養マネジメントが新しい防除技術の鍵に-

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 代謝・行動生理学理研ECL研究チームの佐久間 知佐子 理研ECL研究チームリーダー、栄養応答研究チームの加藤 祐介 研修生(代謝・行動生理学理研ECL研究チーム 研究パートタイマーⅠ)、小幡 史明 チームディレクターらの研究グループは、蚊が吸血後に体内に取り込んだアミノ酸の動態(ダイナミクス)の時間的変化を解析し、それぞれのアミノ酸が固有の変化パターンを示すことを明らかにしました。

本研究は吸血後の蚊に見られる精密なアミノ酸の代謝制御について理解を深めるものであり、アミノ酸代謝を標的とした耐性が生じにくい新たな殺虫剤開発への応用が期待されます。

メスの蚊は、吸血によって得た栄養分を利用して産卵します。宿主の血液中の成分のうち、特にアミノ酸が卵の成熟を促進し、胚発生に必要な卵黄の原料となることが分かっています。しかし、蚊の体内で個々のアミノ酸がどのように代謝され、利用されていくのかを詳細に追跡した研究はありませんでした。

研究グループは蚊の一種、ネッタイシマカ[1]を用い、吸血後の体全体、卵巣、排泄(はいせつ)物中の19種類のアミノ酸量の時間的変化を測定しました。その結果、アミノ酸は、種類ごとに濃度がピークを迎える時期が異なることや、一部は消費されないまま排泄される一方、特定のタイミングで代謝されるものもあることが分かりました。特に非必須アミノ酸の一つ、チロシン[2]は、吸血直後の濃度上昇時に卵成熟ホルモン[3]による分解が一時的に促進され、高濃度による過剰毒性を回避する仕組みがあることが明らかになりました。

本研究は、科学雑誌『BMC Biology』オンライン版(11月27日付:日本時間11月27日)に掲載されました。

吸血蚊の体内に含まれるアミノ酸の時間的変化を解析・可視化の図

吸血蚊の体内に含まれるアミノ酸の時間的変化を解析・可視化

背景

メスの蚊は、卵巣内で発生が停止していた卵を成熟させるために吸血を行います。蚊の腸内に取り込まれた血液は徐々に消化・吸収され、この栄養を利用して合成された卵黄は卵に充填(じゅうてん)されて吸血後50~60時間で卵が成熟します。興味深いことに、吸った血液の栄養成分に偏りがあると、産卵数に影響が見られることが報告されています注1)。これは、蚊の栄養状態を操作することで、蚊の繁殖を制御できる可能性を示唆します。

血液中の栄養素のうち、タンパク質およびそれを構成するアミノ酸が卵の成熟にとって特に重要であることは古くから知られていました。しかし、これまでの研究では多様なアミノ酸をまとめて扱うことが多く、個々のアミノ酸が吸血後にどのように変動するのかを包括的に追跡した例はありませんでした。また解析の対象となってきたのは主に「遊離アミノ酸[4]」であり、タンパク質を構成する「タンパク質結合アミノ酸[4]」については十分に検討されていませんでした。

さらに、体外に排出される排泄物についても、アミノ酸やその代謝物の動態を含めた解析は行われていません。そのため、吸血によって取り込まれた個々の栄養素が体内でどのように変化し、どの程度利用され、あるいは排泄されるのかを高い解像度で明らかにした研究は、これまで存在していませんでした。

  • 注)de Swart MM, Balvers C, Verhulst NO, Koenraadt CJM. Effects of host blood on mosquito reproduction. Trends Parasitol. 2023 Jul;39(7):575-587. doi: 10.1016/j.pt.2023.04.003

研究手法と成果

ヤブカの仲間であるネッタイシマカは熱帯・亜熱帯地域に広く生息し、デングウイルスやジカウイルスなどを媒介するため、その防除は公衆衛生上極めて重要です。研究グループは、メスのネッタイシマカを用いて、吸血によって取り込まれた血液と、卵成熟の場である卵巣に含まれるアミノ酸について「総アミノ酸量(遊離アミノ酸+タンパク質結合アミノ酸)」を包括的に解析しました。その結果、多くのアミノ酸は、卵巣で必要な分を大きく上回る量が血液から取り込まれている一方で、取り込み量だけでは卵巣における需要を賄えないチロシンのようなアミノ酸も存在することが明らかになりました(図1)。

蚊が取り込んだ宿主血液と成熟卵巣におけるアミノ酸プロファイルの図

図1 蚊が取り込んだ宿主血液と成熟卵巣におけるアミノ酸プロファイル

メス蚊成虫が吸血によって体内に取り込んだ宿主血液(赤)と、卵が成熟した時期の卵巣(青)を用いて、総アミノ酸の組成をそれぞれ測定した。1匹の蚊に含まれるアミノ酸量を示す。単位はナノモル(nmol、1nmolは10億分の1モル)。Arg: アルギニン、His: ヒスチジン、Ile: イソロイシン、Leu: ロイシン、Lys: リシン、Met: メチオニン、Phe: フェニルアラニン、Thr: トレオニン、Val: バリン、Ala: アラニン、Asp/n: アスパラギン酸とアスパラギンの和、Cys: システイン、Glu/n: グルタミン酸とグルタミンの和、Gly: グリシン、Pro: プロリン、Ser: セリン、Tyr: チロシン。多くのアミノ酸は、卵巣での需要よりもはるかに高濃度で血液中に存在していた一方で、一部のアミノ酸は血液中で卵巣と同程度か、それ以下のレベルであった。特にチロシンは卵巣内での量が吸血で取り込んだ量よりも有意に多く、体内で生合成したものも卵巣に含まれていると考えられる。

また、吸血後の時間経過とともに、卵巣内では全てのアミノ酸量が徐々に増加し、体全体では逆に減少する傾向があることが分かりました。これは、吸収したアミノ酸が代謝・排泄などの経路を経て動的に調節されていることを示しています。個々のアミノ酸の動きを詳細に見ると、時間経過に伴って体内の濃度が上昇するものもあり、その代表例がチロシンでした。チロシンは卵黄タンパク質に含まれる量が血液中での存在量よりも多かった唯一のアミノ酸だったことから、卵成熟に伴い体内でチロシンの生合成が行われたためと考えられます。

次に、体内ではごく少量しか存在しないものの、シグナル分子としての役割や代謝反応に関わる遊離アミノ酸に注目しました。全ての遊離アミノ酸量を積算したところ、吸血直後ではなく吸血24時間後にピークを示し、さらにアミノ酸ごとに異なる時間的変化のパターンを示すことが分かりました(図2)。あるものは吸血直後に、またあるものは吸血後数十時間経ってから濃度が上昇するなど、アミノ酸ごとに固有の「時間的ダイナミクス」が存在していたことが明らかになりました。

吸血後の蚊体内における遊離アミノ酸の濃度変化の図

図2 吸血後の蚊体内における遊離アミノ酸の濃度変化

液体クロマトグラフタンデム質量分析計(LC-MS/MS)を用いて、蚊の体内に含まれる遊離アミノ酸の濃度の時間的変化を測定し、相対的な濃度を赤(高濃度)から青(低濃度)のヒートマップで示した。Met: メチオニン、Gln: グルタミン、Arg:アルギニン、Ala: アラニン、Lys:リシン、Thr:トレオニン、Leu: ロイシン、Gly: グリシン、Ile: イソロイシン、Val: バリン、Asn: アスパラギン、Ser: セリン、His: ヒスチジン、Phe: フェニルアラニン、Asp: アスパラギン酸、Glu: グルタミン酸、Pro: プロリン、Trp: トリプトファン、Tyr: チロシン。吸血直後から約1日後までの卵成熟初期において、解析の解像度を高めることで、各アミノ酸が時間の経過に応じてそれぞれ特有のパターンで変動することを明らかにした。変動パターンから、19種類の遊離アミノ酸はA~Dの4群に分類された。A群:吸血直後に濃度が上昇した後、すぐに下降するもの。B群:吸血後6~12時間後にピークが来るもの。C群:吸血後6~24時間後にピークが来るもの。D群:吸血後3~9時間は緩やかに変化し、24時間後から急激に上昇するもの。チロシンはD群のパターンを示した。

その中でも特に興味深い濃度変化を示したのが遊離チロシンでした。吸血後48時間かけて上昇していく一方で、吸血6~9時間後に一時的に濃度が減少する時期があることを発見しました(図3A)。この原因を調べたところ、この時期にチロシン分解酵素の発現が上昇していることが判明しました。遊離チロシンの濃度減少の生理的な意味を探るため、チロシン分解酵素[5]の阻害剤を血液に添加して蚊に吸わせたところ、吸血24時間後に体内チロシン濃度が過剰に上昇し、生存率の低下が見られました(図3B、C)。一方、48時間後以降の生存率は安定しており、生き残ったメス個体では正常な卵成熟が進んでいました。つまり、吸血後早期にチロシン分解を一時的に促進するのは、吸血で得た過剰なチロシンを一時的に減らして体を守る仕組みであることが分かりました。過剰に蓄積すると悪影響を与えるチロシンをあえて分解するという戦略は、ほかの吸血昆虫(たとえばサシガメ[6])でも知られています。また小幡チームディレクターらの過去の研究でも、ショウジョウバエが高タンパク食を摂取した際にチロシン分解を活性化して生存することを報告しています注2)

吸血後の遊離チロシン動態とチロシン分解酵素の阻害による影響評価の図

図3 吸血後の遊離チロシン動態とチロシン分解酵素の阻害による影響評価

  • A)遊離チロシンは、吸血後6~9時間の間に一時的に濃度が低下した。
  • B)チロシン分解酵素阻害剤を血液に添加して吸わせた個体では、吸血24時間後の遊離チロシン(Tyr)体内濃度が対照群より有意に上昇した。
  • C)阻害剤処理群では、吸血24~48時間後にかけて生存率が低下する傾向が見られた。ただし48時間後以降は、対照群と変わらない死亡率の変化を示した。

では、吸血後の限られた時期に起きるチロシン分解は、どのように制御されているのでしょうか?研究グループでは、吸血後の卵成熟を統括するホルモン「20-ヒドロキシエクダイソン(20E)[3]」に注目しました。遊離チロシンが一時的に低下し始める吸血6時間後ごろは、ちょうど20Eの体内量が上昇し始める時期と一致します。そこで未吸血の蚊に20Eを注射したところ、吸血をしなくてもチロシン分解酵素の発現を上昇させることができました。さらに、20E投与後にどのような遺伝子の発現変化が見られるかをトランスクリプトーム解析[7]により調べたところ、20Eはチロシンを材料として他の代謝物をつくる経路を抑制する一方で、分解系の経路を全体的に亢進(こうしん)させること、さらに他の一部のアミノ酸の代謝経路にも影響を与えることが明らかになりました。これまで20Eは卵黄タンパク質合成を誘導するホルモンとして知られていましたが、今回の結果から、体の中でアミノ酸の量やバランスを一定に保つ「アミノ酸恒常性」の維持にも関与する多面的な役割を持つことが示されました。

最後に、アミノ酸の体内動態と排泄の関係を調べるため、蚊の排泄物中のアミノ酸も解析しました。その結果、塩基性アミノ酸[8]であるアルギニンやヒスチジンが排泄物に含まれる主要なアミノ酸成分として検出されました。これら二つのアミノ酸は、排泄物と体内に残る量の合計が吸血後の各時点でほぼ一定であることから、蚊はこれらのアミノ酸を体外にそのまま排泄することにより体内量を調節している可能性が示されました(図4A、B)。一方で、同じく塩基性アミノ酸に分類されるリジンは、排泄物と体内量の合計が時間とともに減少したことから、代謝によって別の物質に変換されていることが推測されました(図4C)。

吸血後の蚊体内および排泄物中における総アミノ酸濃度の図

図4 吸血後の蚊体内および排泄物中における総アミノ酸濃度

蚊の体内および排泄物を回収して酸加水分解処理を行い、遊離成分に加えてタンパク質中に含まれる成分も加水分解した後、総アミノ酸量を測定・可視化した。ここでは、塩基性アミノ酸に分類される3種を示す。アルギニンおよびヒスチジンでは、体内(Whole Body)での減少量と排泄物(Excreta)中の検出量がおおむね釣り合う一方、リジンでは釣り合わなかった。体内アミノ酸濃度の恒常性維持機構が、アミノ酸の種類によって異なる可能性が示唆される。

これらの結果から、吸血後の体内で増加するアミノ酸は種類ごとに異なる運命をたどり、時期特異的な制御を受けて動的に変化することが明らかになりました。中でもチロシンは、20Eの制御下で代謝が調節されることにより、卵成熟の進行とアミノ酸恒常性の両立を可能にしていることが示されました。

今後の期待

本研究により、吸血後の蚊体内におけるアミノ酸の時間的変化と、一部のアミノ酸の時期特異的な濃度調節が個体の生存に重要であることが明らかになりました。今後はこの知見を応用し、アミノ酸代謝酵素を標的として蚊の生存や卵成熟を制御する新たな殺虫剤や防除技術の開発につながることが期待されます。特に代謝は多くの物質の動きが互いに連携して成り立っており、全体のバランスによって生命活動が維持されています。このバランスを意図的にかく乱すると広範な代謝系に影響を及ぼすことから、特定の分子のみを標的とする従来型の殺虫剤に比べて耐性が生じにくい防除戦略の可能性が示唆されます。

本研究では、個体レベルでのアミノ酸の供給と消費の動態に着目し、それを統合的に捉える新しい概念として「アミノ酸経済(amino acid economy)」という考え方を提唱しました。吸血した蚊がどのアミノ酸をどれだけ摂取し、どのように利用・排泄するかを極めて高い解像度で包括的に解析することで、この「アミノ酸経済」という枠組みが蚊の栄養利用を体系的に理解する上で有効であることを示しました。また、諸外国では、感染症対策の一環として、蚊の個体数を減らすことを目的に、遺伝子組換え蚊や共生細菌を持った蚊を野外に放す取り組みが進められています。このような対策を支えるためには、蚊を効率よく飼育し、安定的に卵を成熟する技術が欠かせません。本研究成果は蚊の飼育条件を最適化し、効率的な卵成熟を促す栄養管理技術を開発するための基盤的知見となることが期待されます。

補足説明

  • 1.ネッタイシマカ
    ヤブカ属の吸血蚊の一種。学名はAedes aegypti。熱帯・亜熱帯地域に広く分布し、人間の生活環境に侵入・定着して繁殖する。デング熱やジカ熱などの原因ウイルスを媒介する。
  • 2.チロシン
    生体内で合成できる非必須アミノ酸の一つ。分子内に芳香環構造を持つ芳香族アミノ酸に分類され、溶解性が低いことで知られている。生体内では、必須アミノ酸であるフェニルアラニンから合成される。
  • 3.卵成熟ホルモン、20-ヒドロキシエクダイソン(20E)
    昆虫の卵成熟では、卵黄の合成と卵黄の卵への充填が起きる。卵成熟ホルモンはこの過程を促進し、20-ヒドロキシエクダイソン(20E)はその代表。20Eは昆虫の脱皮や変態を制御するエクジステロイドホルモンの一種で、エクダイソンが生体内で水酸化されて生成される活性化型のホルモンである。
  • 4.遊離アミノ酸、タンパク質結合アミノ酸
    アミノ酸は単分子として体液や組織液中を循環する「遊離アミノ酸」とオリゴペプチドやタンパク質に含まれる「タンパク質結合アミノ酸」に分かれる。低分子化合物に分類される遊離アミノ酸は各種分析法で測定可能。一方で測定手法の特性上、タンパク質結合アミノ酸はそのままでは測定しづらいため、アミノ酸単位にまで分解する必要がある。
  • 5.チロシン分解酵素
    チロシンを分解することにより生体内のチロシン恒常性を保っている酵素。複数存在するが、中でも本研究ではチロシン分解の2段階目を担う4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(Hpd)に注目している。
  • 6.サシガメ
    サシガメ科サシガメ亜科に属する吸血性昆虫の総称。シャーガス病を引き起こす寄生原虫クルーズトリパノソーマの媒介者として知られる。
  • 7.トランスクリプトーム解析
    細胞や組織内の全転写産物(全RNA)を網羅的に解析する手法。
  • 8.塩基性アミノ酸
    アミノ酸の基本構造に含まれ塩基性を示すアミノ基に加えて、その側鎖に塩基性を示す官能基を含むアミノ酸の総称。アルギニン、ヒスチジン、リジンが含まれる。

研究グループ

理化学研究所
生命機能科学研究センター
代謝・行動生理学理研ECL研究チーム
理研ECL研究チームリーダー 佐久間 知佐子(サクマ・チサコ)
(開拓研究所 佐久間代謝・行動生理学理研ECL研究チーム 理研ECL研究チームリーダー)
栄養応答研究チーム
研修生 加藤 祐介(カトウ・ユウスケ)
(代謝・行動生理学理研ECL研究チーム 研究パートタイマーⅠ、京都大学 大学院生命科学研究科 博士後期課程)
特別研究員 大井 綾乃(オオイ・アヤノ)
チームディレクター 小幡 史明(オバタ・フミアキ)
(京都大学 大学院生命科学研究科 客員准教授)
環境資源科学研究センター
生命分子解析ユニット
ユニットリーダー 堂前 直(ドウマエ・ナオシ)

研究支援

本研究は、理化学研究所運営費交付金(生命機能科学研究)で実施し、科学技術振興機構(JST)創発的研究支援事業(FOREST)「固有栄養感知機構の解明と応用(研究代表者:小幡史明、JPMJFR2337)」「感染症媒介蚊の吸血を制御する口吻味覚基盤の包括的理解(研究代表者:佐久間知佐子、JPMJFR2016)」、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業基盤研究(B)「排出を起点とした代謝恒常性制御機構の遺伝学的解析(研究代表者:小幡史明、23K24032)」「病原体媒介蚊の吸血を負に制御する機構の理解(研究代表者:佐久間知佐子、24K02066)」、同若手研究「病原体媒介蚊の吸血を司る正と負の味覚制御機構(研究代表者:佐久間知佐子、21K14866)」、同特別研究員奨励費「病原体媒介蚊の吸血に伴う血液代謝調節機構の解明(研究代表者:加藤祐介、24KJ1381)」による助成を受けて行われました。

原論文情報

  • Yusuke Kato, Ayano Oi, Naoshi Dohmae, Fumiaki Obata, Chisako Sakuma, "Temporal changes in amino acid profiles coordinate mosquito physiology and egg maturation in Aedes aegypti", BMC Biology, 10.1186/s12915-025-02460-z

発表者

理化学研究所
生命機能科学研究センター 代謝・行動生理学理研ECL研究チーム
理研ECL研究チームリーダー 佐久間 知佐子(サクマ・チサコ)
栄養応答研究チーム
研修生 加藤 祐介(カトウ・ユウスケ)
(代謝・行動生理学ECL研究チーム 研究パートタイマーⅠ)
チームディレクター 小幡 史明(オバタ・フミアキ)

佐久間 知佐子 理研ECL研究チームリーダー、加藤 祐介 研修生、小幡 史明 チームディレクターの写真 左より、佐久間 知佐子、加藤 祐介、小幡 史明

発表者のコメント

われわれヒトに身近な生物の一つである蚊の代謝について、その一端を明らかにすることができうれしく思っています。本研究を支えてくださった方々に心から感謝を申し上げます。今後とも、この小さな生き物を通して生命の仕組みを多角的に理解できるよう探求し続けていきたいと思います。(加藤 祐介)

アミノ酸は生命の根幹を成す栄養素であり構成成分。その動態と機能をしっかり分析することで、知られざる生命の一側面を理解できるのではと期待しています。さまざまな生き物で食理学(食品成分と生体との相互作用を研究する学問分野)を進めていきたいと思います。(小幡 史明)

蚊の吸血行動の仕組みを調べるうちに、吸血で大量の血液を得た蚊が、そこに含まれる栄養をどのように効率よく利用しているのかに興味を持ちました。アミノ酸研究の第一人者である小幡さんの的確な助言と、加藤さんの粘り強い実験の積み重ねにより、吸血後の蚊の体内では19種類のアミノ酸の動きが驚くほど精密に制御されていることが分かりました。今後は、この精密な代謝制御の仕組みをさらに明らかにしていきたいと考えています。(佐久間 知佐子)

報道担当

理化学研究所 広報部 報道担当
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