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  2. 新型コロナウイルスに関する研究開発(2022年10月6日更新)

テレワークが⼈間に与える影響の調査・改善策の策定

実施代表・実施者等
佐倉 統 チームリーダー、福住 伸一研究員
連携先
東京都立大学

研究概要

問1:研究の概要を教えてください。
多くの人にとって働く場であるオフィス(仕事場)は、さまざまな作業を行うのに適した環境となるように設計されています。しかし、コロナ禍で在宅勤務やテレワークが急増した結果、作業に適していない環境で働かざるをえない状況が出現し、身体疲労やメンタルストレスなど、さまざまな不具合が生じています。私たちは、テレワークというオフィス以外での作業を行うことによる人間への影響を、作業の種類、場所の観点から分析し、それぞれの場所や環境にはどんな作業が適しているかを示そうと研究を進めています。最終的には国際規格や学会でのガイドライン化を目指しています。
問2:なぜこの研究を行おうと思ったのでしょうか。
テレワークを快適に行うには、単にオフィスでの作業を家でもできるようネットワーク環境やデバイスを整備するだけではなく、作業場所で家族が家事やテレビ視聴などをしている、直射日光が当たる、照明が暗すぎるなど、オフィスではありえない作業環境に対応しなければなりません。来客対応、近隣の生活音などの外的要因も多く、マニュアル化もしづらいため負担やストレスが大きくなります。一方でテレワークには通勤時間の削減や作業時間の自由度などのメリットもあるので、新型コロナウイルスによる社会の混乱がひと段落した後も、ある程度定着していくと思います。そのような状況にも備え、実際に働く人々や同居している家族の負担を軽減する施策を合わせて提供することが急務であると考えたからです。これは雇用者側にとっても必要な問題だと認識しています。
問3:どういった方法で解明するのでしょうか。
想定される業務上の作業(資料作成、文書作成、調査、1対1による打ち合わせ、社内会議、社外会議など)と作業場所(オフィス自席、ミーティングスペース、集中エリア、自宅自室、リビング、キッチン、カフェ、レストランなど)について、実際にさまざまなところで働いている方々、約200人を対象とする実態調査と、理想(作業したい場所)についてのヒアリングを実施し、それらの関係性を示した表を作成します。それを国内外(国際標準化参加国)に展開し、国ごとに比較検証します。
問4:現時点でどこまで分かっているのでしょうか。
17業務と27か所の場所(オフィス関連の場所12、自宅内の場所9、その他6)との関係について、年齢層、職種ごとに直近3か月での実績を調査しました。現在、その中でも家具メーカーで働く人、約180人のデータを集計し分析しているところです。傾向として、コロナ禍においてもオフィスの自席での作業の割合がまだまだ高いこと、一方で、オフィス(自席以外)や自宅(自室やリビング以外)、サードプレイス(カフェなど)での作業の割合も企画提案や情報収集といった業務では比較的高いことが分かってきました。
問5:今後の課題を教えてください。
問3で書いた関係性を示す表を基に作業内容に適した作業場所を提案するための技術報告書を作成し、国際規格として提案していくことを考えています。その際に、規格の数値目標や効果を測定の指標を定める必要があります。現在、文献調査や働き方改革に取り組んでいる企業や団体へのヒアリングを通じて、その指標となる項目をリストアップしているのですが、実効性をどう検証するかが課題です。また、テレワークではオンラインコミュニケーションが主流になるため、相互の信頼性の確保や確認、個人情報・機密情報の共有などにおいて、対面状況とは異なる倫理的・社会的問題への対処が必要となってくるでしょう。それらについての研究も展開する必要があると考えています。

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リビング(ソファー等)          
トイレ              
浴室              
寝室                
子ども部屋              

主な業務とそれを行う場所との関係の調査票(一部)

2021年2月2日掲載

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