放射光科学研究センター SACLA利用技術開拓グループ
グループディレクター 岩田 想(Ph.D.)
研究概要
X線自由電子レーザー(XFEL)が実用化され、2012年より日本でもSACLAで供用が開始されました。我々は2012年より所内外の他グループと協力して、シリアルフェムト秒結晶構造解析法(SFX)の技術及び装置開発を行うと同時に、主に膜タンパク質について、タンパク質生産、データ収集、構造解析及び機能解析までを連続して研究しています。2014年からは光によってプロトン移動を行うバクテリオロドプシンをモデルとして、汎用的な時間分割SFX実験の開発に取り組み(南後ら,Science)、このシステムを光化学系IIにも適用しています(菅ら,Nature)。化学反応が起こるフェムト秒の領域から、コンピューターシミュレーションの容易でないミリ秒の領域まで、タンパク質の三次元構造を明らかにできる新しい方法の構築に成功しています。タンパク質の動的構造、シミュレーションや理論計算と組み合わせることによるタンパク質の機能に対する理解や、生命科学分野におけるXFELの利用研究が加速されることを目指しています。
研究主分野
- 生物学
研究関連分野
- 医歯薬学
- 生物科学
キーワード
- X線自由電子レーザー
- シリアルフェムト秒結晶構造解析法
- 膜タンパク質
- 構造ダイナミクス
- 生命科学分野における技術開発
主要論文
- 1.Nango E, Royant A, Kubo M, Nakane T, Wickstrand C, Kimura T, Tanaka T, Tono K, Song C, Tanaka R, Arima T, Yamashita A, Kobayashi J, Hosaka T, Mizohata E, Nogly P, Sugahara M, Nam D, Nomura T, Shimamura T, Im D, Fujiwara T, Yamanaka Y, Jeon B, Nishizawa T, Oda K, Fukuda M, Andersson R, Båth P, Dods R, Davidsson J, Matsuoka S, Kawatake S, Murata M, Nureki O, Owada S, Kameshima T, Hatsui T, Joti Y, Schertler G, Yabashi M, Bondar AN, Standfuss J, Neutze R*, and Iwata S*.:
"A three-dimensional movie of structural changes in bacteriorhodopsin"
Science 354(6319), 1552-1557 (2016)
研究成果(プレスリリース)
-
2024年7月8日
タンパク質結晶に分子を閉じ込め反応過程を可視化 -
2023年4月10日
X線自由電子レーザーで捉えたビフィズス菌酵素の常温構造 -
2023年3月23日
視覚に関わるタンパク質の超高速分子動画 -
2021年3月23日
X線自由電子レーザーで捉えた、光照射によるチャネルロドプシンの構造変化の過程 -
2020年12月23日
統合失調症に関わるドパミン受容体の構造解明 -
2018年6月15日
フェムト秒スケールのタンパク質分子動画 -
2017年4月10日
低ノイズ・低粘着性・低コストのタンパク質結晶輸送媒体を発見 -
2016年4月18日
結晶を損傷しない新しいタンパク質結晶の輸送媒体を発見 -
2016年3月25日
SACLAでの構造解析に必要な結晶の量を数百分の1に -
2015年11月30日
SACLAでタンパク質の硫黄原子を利用した結晶構造の決定に成功
関連リンク
メンバーリスト
主宰者
- 岩田 想
- グループディレクター
お問い合わせ先
〒679-5148 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
Email: s.iwata [at] spring8.or.jp
※[at]は@に置き換えてください。
組織
- 分子動画研究チーム
- 南後 恵理子(D.Sc.)