放射光科学研究センター 生体機構研究グループ
グループディレクター 米倉 功治(Ph.D.)
研究概要
当グループは、クライオ電子顕微鏡(EM)による生体超分子複合体、膜蛋白質などの構造解析、及び解析手法の開発を進めています。単粒子解析では、試料を結晶化することなく、いろいろな溶液条件下で構造を明らかにできます。新型クライオ電子顕微鏡システムを用いて世界最高の空間分解能の構造解析が達成できた他、蛋白質の構造変化を捉えることにも成功しました。また、電子線回折(ED)では、蛋白質のみならず低・中分子の微小な結晶を扱え、これまで解析対象にならなかった試料の範囲を大幅に広げることができました。後者では、原子一つ一つを可視化できる分解能の構造が得られています。SPring-8/SACLAを相補的に利用し、より高度な解析を進めます。
研究主分野
- 生物学
研究関連分野
- 化学
- 生物科学
- 物理学
キーワード
- クライオEM
- 高分解能単粒子解析
- 電子線三次元結晶構造解析、eEFD、3D ED、マイクロED
- 膜蛋白質
- 超分子複合体
主要論文
- 1.
Takaba K., Maki-Yonekura S., Inoue I., Tono K., Fukuda Y., Shiratori Y., Peng Y., Morimoto J., Inoue S., Higashino T., Sando S., Hasegawa T., Yabashi M. and Yonekura K.:
"Comprehensive application of XFEL microcrystallography for challenging targets in various organic compounds"
J. Am. Chem. Soc. 146, 5872-5882 (2024). - 2.Yonekura K., Maki-Yonekura S. and Takaba K.:
"Applications and limitations of electron 3D crystallography"
Structure, 31, 1328-1334 (2023). - 3.Maki-Yonekura S., Kawakami K., Takaba K., Hamaguchi T. and Yonekura K.:
"Measurement of charges and chemical bonding in a cryo-EM structure"
Commun. Chem., 6, 98 (2023). - 4.Takaba K., Maki-Yonekura S., Inoue I., Tono K., Hamaguchi T., Kawakami K., Naitow H., Ishikawa T., Yabashi M. and Yonekura K.:
"Structural resolution of a small organic molecule by serial X-ray free-electron laser and electron crystallography"
Nat. Chem., 15, 491-497 (2023). - 5.Aizawa H., Sato T., Maki-Yonekura S., Yonekura K., Takaba K., Hamaguchi T., Minato T. and Yamamoto H. M.:
"Enantioselectivity of discretized helical supramolecule consisting of achiral cobalt phthalocyanines via chiral-induced spin selectivity effect"
Nat. Commun., 14, 4530 (2023). - 6.Hamaguchi T., Maki-Yonekura S., Naitow H., Matsuura Y., Ishikawa T. and Yonekura K.:
"A new cryo-EM system for single particle analysis"
J. Structl. Biol. 207: 40-48 (2019). - 7.Yonekura K., Ishikawa T. and Maki-Yonekura S.:
"A new cryo-EM system for electron 3D crystallography"
J. Structl. Biol. 206: 243-253 (2019). - 8.Yonekura K., Kato K., Ogasawara M., Tomita M. and Toyoshima C.:
"Electron crystallography of ultra-thin 3D protein crystals: atomic model with charges"
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 112: 3368-3373, (2015). - 9.Yonekura K., Maki-Yonekura S. and Namba K.:
"Complete atomic model of the bacterial flagellar filament by electron cryomicroscopy"
Nature 424, 623-650 (2003). - 10.Yonekura K., Maki S., Morgan D. G., DeRosier D.J., Vonderviszt F., Imada K. and Namba K.:
"The bacterial flagellar cap as the rotary promoter of flagellin self-assembly"
Science 290: 2148-2152 (2000).
研究成果(プレスリリース)
-
2024年10月17日
血管収縮因子エンドセリンと受容体タンパク質が形成する複合体構造を解明 -
2024年5月24日
100兆分の1秒の一瞬で生きた細胞の姿を捉えることに成功 -
2024年2月28日
解析が難しい微小結晶試料の構造を高精度で解明 -
2024年2月8日
コンパクトな集光ミラー光学系で軟X線のナノ集光を実現 -
2023年5月31日
クライオ電顕により電荷、水素原子、化学結合を可視化 -
2023年3月21日
XFELと電子顕微鏡による低分子有機化合物の結晶構造解析 -
2023年3月16日
SPring-8で糖尿病進行に伴う鉄・亜鉛の変動を解明 -
2023年2月21日
シアノバクテリアの光化学系I単量体IsiA超複合体の立体構造解明 -
2022年9月13日
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症機構の一端を解明 -
2022年6月17日
藻類の太陽光エネルギーを吸収する仕組みを解明 -
2021年12月24日
秩序と乱れが共存した高性能な液晶性有機半導体を開発 -
2021年9月17日
AI制御によるクライオEMの自動測定システムを開発 -
2021年6月10日
光捕集複合体フィコビリソームの単粒子構造解析 -
2021年4月20日
赤外光駆動型光合成をクライオ電顕で捉える -
2021年3月25日
ナノグラフェンの二重らせん構造が電子回折で明らかに -
2021年3月23日
光化学系IIの立体構造をクライオ電顕で高精度に決定 -
2020年9月4日
ウイルスの遺伝子放出をクライオ電顕で捉える -
2020年6月26日
電子線回折の自動測定システムを開発 -
2019年8月6日
ナノ結晶から水素結合を可視化 -
2019年5月21日
タンパク質やその複合体の高分解能・高精度解析に成功 -
2018年10月26日
低温X線回折イメージング・トモグラフィー技術の確立 -
2018年4月27日
生体分子を構成する原子のイオンの散乱因子の決定 -
2018年4月17日
膜タンパク質のダイナミックな構造変化を解明 -
2016年8月25日
生体分子の電荷分布の高精度解析法 -
2016年1月29日
XFELと顕微鏡の相補利用で生体試料を高効率に観察 -
2015年2月23日
微小で薄いタンパク質結晶の電子線構造解析 -
2015年1月28日
生体試料の高分解能・高信頼度イメージング法を開発 -
2013年11月7日
ストレスに対する防御応答のバランスを保つ機構の一端を解明
関連リンク
メンバーリスト
主宰者
- 米倉 功治
- グループディレクター
メンバー
- 内藤 久志
- 先任研究員
- 濵口 祐
- 研究員
- 川上 恵典
- 研究員
- 高場 圭章
- 特別研究員
採用情報
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