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新型コロナウイルスに関する研究開発(2022年5月26日更新)

世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年、理化学研究所(理研)は総力をあげてこの人類の危機に立ち向かうべく、4月に特別研究プロジェクトを立ち上げました。以来、内外の研究機関や大学、企業とも連携しながら、さまざまなニーズに迅速かつ機動的に応えていけるよう、精力的な研究開発や、富岳をはじめとする施設の供出を進めています。このプロジェクトを通じて、より効率的かつ迅速なウイルス検出法の開発や、効果的な感染防止対策や治療薬開発のためのデータ創出等に成功してきました。

これからも理研は、持てる資源を最大限に活用し、人々の生活や社会を持続させるための新たな知見を世界中に共有すること等で、新型コロナウイルスの克服に貢献していきます。

理研における新型コロナウイルスに関する研究の図

理研における新型コロナウイルスに関する研究

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研究テーマ

終了した研究テーマ

データの公開や先端大型共用施設の利活用による研究

検出法の開発

  • 新型コロナウイルスの非増幅・高感度・迅速診断技術の開発 new

    理研が開発した「核酸のデジタル検出技術」を基盤とし、新型コロナウイルス由来のRNAを非増幅・高感度・短時間で解析できる新規技術を迅速に開発します。

  • 感染前にCOVID-19の症状ならびに転帰を高精度に予測する手法の開発

    新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染に対する感受性と抵抗性は、多数の要因に依存しています。そのなかで中心的な役割を担っているのが自然免疫と獲得免疫の二つの免疫システムです。これらの免疫システムは、BCGなど過去のワクチン接種や他のコロナウイルスへの感染履歴によって修飾されます。消化管免疫も免疫システムの状態に影響を与えることが知られており、過剰な抗生物質の投与によって免疫の状態が悪化する場合があります。高血圧、糖尿病、肥満、循環器系の疾患などの併存症が、呼吸不全の形成と相関していることが観察されていますが、なぜ一部の人で深刻な呼吸不全が生じるのかはまだ十分理解されていません。その一方で、他のコロナウイルスの研究によって、ウイルスの感染プロセスにACE2やTMPRSS2などの遺伝子が関係していることが明らかになっています。国際共同研究により、表現型や遺伝に関する様々な要因の複雑な相互作用を紐解き、なぜ、どのようにしてCOVID-19が特定の人を死に至らしめるのかを明らかにします。

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  • Preclinical層別化に基づく新たなデータ駆動感染症制御戦略の創出

    新型コロナウイルス感染症は、大半の感染者が無症候か軽症で終わる一方、一部の発症者は重症化するという症状の多様性を特徴としています。発症後(受診後)に病院で取られるデータは充実している一方、発症前のデータは十分に蓄積されておらず、個人ごとの発症・重症化のリスクを事前に評価する方法は確立されていません。本研究では、既に構築を開始している大規模社会PCR検査システムを活用し、数千人の健常者、無症候者の唾液、鼻咽頭スワブサンプルを収集します。これらのサンプル中に含まれるヒト由来、微生物由来のDNA、RNAを網羅的に計測し、機械学習と統計・数理モデルを融合したアプローチにより、個人ごとの発症・重症化リスクを発症前に評価する方法を開発します。また、発症・重症化リスクの多様性を考慮した流行動向予測モデルも開発し、「どのタイミングで、誰を対象に、どのような介入を行うのが効果的か」という個別化感染制御戦略の創出を目指します。

  • メタマテリアル発色体を用いたウイルス検出デバイス

    ナノメートルサイズの金属構造と光波との共鳴相互作用を利用すると,任意の色を発色するデバイスが作れます。この技術をイムノクロマト法と組み合わせることで、ウイルス由来の抗原やタンパク質分子をデバイスの色変化として肉眼でも高感度かつ簡便に検出できるデバイスを開発します。

  • プール方式で新規変異株の検出と特定を可能にするマイクロ流体技術の開発

    理研が開発したマイクロ流体技術を基盤とし、新型コロナウイルス新規変異株の検出と特定をプール方式で可能にする新規技術を開発します。

  • 新型コロナウイルス抗体の「その場」高感度・定量技術

    ヒトの血液中にある新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体の量(抗体価)を、迅速に高感度で測定できる「ウイルス・マイクロアレイ検出システム」を開発します。これにより今後重要となるSARS-CoV-2ワクチン接種の効果を、医療現場において効率的に精密検査することが可能となることを目指します。

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治療薬・ワクチン開発のための研究

  • Main protease / Papain like proteaseをターゲットとした治療薬開発

    細胞内に侵入したウイルスは自らのRNAの遺伝情報に従って、長いタンパク質(ポリタンパク質)をつくります。そのポリタンパク質をウイルス由来の「メインプロテアーゼ(Main protease)」と「パパイン様プロテアーゼ(Papain like protease)」が十数種類の断片に切断し、それらがウイルスの増殖に必要なタンパク質や新しいウイルスを形づくるタンパク質等となります。この仕組みを利用し、プロテアーゼの働きを阻害し細胞内でのウイルスの増殖を抑制する薬の開発を目指します。

  • TMPRSS2を標的とした治療薬開発

    ウイルス表面には「スパイクタンパク質」と呼ばれる突起があり、その突起でヒト細胞表面の受容体「ACE2」に結合して前駆体をつくります。その前駆体の結合部位にヒトが持つ分解酵素「TMPRSS2」が働くことで形を変えて、ウイルスの侵入が始まります。「TMPRSS2」の働きを阻害する薬を開発することでウイルスの細胞内への侵入を効率的に阻止できる可能性があります。「TMPRSS2」は、ヒトの酵素であることから、阻害剤はウイルスの変異による影響を受けにくい治療薬になるのではないかと期待されています。

  • 人工アジュバントベクター細胞(aAVC)による免疫療法

    aAVCは、自然免疫を活性化する糖脂質と、獲得免疫を活性化する抗原を搭載した細胞です。これまでは、がん免疫療法用のaAVCの開発が進められてきましたが、ウイルス表面にあるスパイクタンパク質やエンベロープタンパク質などを抗原として搭載したaAVCを患者に投与することで、新型コロナウイルスを自然免疫と獲得免疫の両方に攻撃させることが可能だと考えられます。

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  • COVID-19に関連する生体分子の構造解析に基づく創薬研究

    COVID-19の創薬ターゲットとしてSARS-CoV-2の感染に関わる様々なタンパク質の高次構造を明らかにします。標的とするタンパク質の中には非構造タンパク質(NSPs)のような高次構造を持つものや、自由度が大きなものがあり、性質に応じてクライオ電子顕微鏡とNMR(核磁気共鳴装置)を使い分けて、設計に有用な構造情報を取得します。

  • COVID-19に関連する生体分子のシミュレーションとAIに基づく創薬研究

    COVID-19の創薬ターゲット候補のタンパク質の多くはタンパク質表面が柔らかく、分散力相互作用が重要な役割を果たしていることもあり、予備検討の結果、既存のドッキング手法では充分な活性予測能力がないことが分かってきました。そこで、既に開始している結合シミュレーションと量子化学計算の一種であるFMO法とAIを組み合わせた高精度な活性予測を適用し、候補化合物の選択を進めます。

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  • 新型コロナウイルス抗体製剤の開発

    新型コロナウイルス感染症から回復された方から感染を阻害するヒトモノクローナル抗体を単離し、抗体製剤を作成します。

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  • 剛性解析による新型コロナウイルスタンパク質の分析

    COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に含まれる各種ターゲットタンパク質の分子構造に対して剛性解析を適用することで、薬剤との結合部位を探索して創薬に貢献します。

  • 新型コロナウイルスに対する化学合成ワクチンの開発

    一般的にワクチン開発の課題とされる「ウイルス変異」「抗体依存性感染増強」を克服すると期待されるワクチン技術mMAP(mutation-compatible multiple antigen peptides)を開発しました。この技術を応用して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発を進めます。

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  • ビタミンD3アジュバントを用いた簡易ワクチン開発

    ワクチンによる集団免疫はスピードと規模が鍵となります。理研での研究から見つかった、より安全なアジュバントを用いて、従来の注射針を使わないワクチン開発を目指します。とくに、発展途上国への供給を念頭に、世界中の人に、より迅速に行き渡るワクチンを開発します。

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  • 新型コロナウイルス感染症治療薬候補化合物の大規模データベーススクリーニング

    新型コロナウイルスに対して最適な治療薬の発見を目指して、大規模化合物データベースから類似度検索技術による治療薬候補化合物のスクリーニングを行います。

  • RNA依存性自然免疫タンパク質の構造解析による新型コロナウイルス治療薬の開発

    外来RNAを認識する自然免疫タンパク質の活性化機構について、RNA複合体の構造解析をクライオ電子顕微鏡により行います。

  • 新型コロナウイルスに対する治療薬とワクチンを開発するための動物モデルの作出

    人と同様に新型コロナウイルス感染により重篤化するモデル動物を作出し、治療薬やワクチン開発につなげます。

  • 新型コロナのどんな変異ウイルスの感染も阻止できる万能阻害抗体の開発

    変異コロナウイルスは感染力が強く、中和抗体にも反応しにくくなっていることから、ウイルスに対してではなく、ホストの細胞側のウイルスの感染・侵入に必須な分子に対する抗体を確立して、どんな変異コロナウイルスの感染も阻害できるような治療抗体を作ります。

生活や社会を持続させるための研究

  • 新型コロナウイルス流行下における遠隔交流・対話支援システムの開発

    外出自粛に伴い他人とのコミュニケーションが減ることで高齢者が認知症になるおそれが高く、高齢者を介護する施設ではクラスター感染が発生しやすくなっています。要介護高齢者が感染すると、症状が回復しても行き場がないために退院できず、病院のベッドをふさいでしまうことになり、医療崩壊につながりかねません。そこで、遠隔交流および人工知能(AI)との対話を支援するシステムを開発し、そのもとで高齢者に対話を促すことによって、認知機能や身体機能の低下を抑制します。

  • 新型コロナウイルス感染症に関するヘイトスピーチ・偽情報の分析

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延に伴うヘイトスピーチや偽情報等の攻撃的な言説の収集、分析を行います。

  • オンライン初診におけるELSIと対応策の抽出

    時限的・特例的に認められたオンライン初診について、対面では生じえなかった倫理的な問題やデータの扱いの課題といったいわゆるELSI(Ethics, Legal and Social Issues)について、オンライン、さらにはAIを用いた初診/問診における課題の分類と対応策の抽出を行います。

  • テレワークが人間に与える影響の調査・改善策の策定

    急激に注目を集めてきたテレワーク(在宅勤務)は、作業者側にさまざまな課題をもたらします。たとえば、昔からのVDT問題(作業姿勢等)の他、会話不足、ON/OFFの区切りがないことによる疲労、OFFの作り方、小部屋・小画面でのオンライン会議による疲労、など)。これらについて、諸問題を調査し、改善策の策定を目指します。

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  • 長期の診療報酬データ(レセプトデータ)を用いた新型肺炎患者の重症化の予測

    大規模電子カルテデータや健診データと連結されたレセプトデータを利用して、「性年代とレセプトデータによる過去の既往症・治療・検診データ」のみを使い、機械学習手法により迅速に(数分以内に)新型肺炎の重症度予測を行う手法を開発します。

  • ICT・HPCを活用した新型コロナウイルスの感染症伝播抑止・経済対策および社会センチメントのモニタリング

    安全・安心なパーソナルデータ管理運用技術(PLR:Personal Life Repository)を用いてAI・ICT・HPCを相互連携させ、感染リスクの可視化や低リスク経路の推薦、感染伝播シミュレーションと対策立案、経済活動シミュレーションと経済対策立案などにより、新型コロナウイルスの感染拡大を抑止し、社会・経済的影響への対策を構じます。

  • ビッグデータを用いた行動変容のための情報通知内容の個別最適化

    COVID-19の流行収束をいち早く行うために、行動経済学のこれまでの実証研究の知見、およびマーケティング・メディア広告研究の知見を踏まえた上で、各個人のメディア接触や携帯端末の位置情報など得られているデータをもとに、誰にどのようなメッセージ訴求をどのタイミングでどのメディアで行うかの個別最適化を行い、感染リスクを高める行動の変容を促すことを可能にするための機械学習によるアルゴリズムを開発します。

  • コロナ感染症の蔓延阻止のための技術的、社会的および法制度的方策の検討

    コロナ感染症は薬、ワクチンなどの医療的対策以外の技術的方策や法、社会の在り方も含めて蔓延阻止の総合的方策が必要になります。法的制約、自粛、同調圧力、アフォーダンス、ナッジなどが法・社会的手段として考えられますが、これらは単独では効果が少なく、かつプライバシー保護の観点も含めて、どのように組み合わせれば効果的かを日英共同研究の形で調査、分析します。

  • アフターコロナの社会における社会的なつながりとLonelinessの研究

    コロナ禍における自粛生活やソーシャルディスタンス等による孤独Lonelinessが心と体の健康に影響を与える問題が社会課題となっています。この問題に対処するため個々人が心身ともに健康な生活を送るために必要なコミュニケーションの特徴や量を明らかにします。社会的なつながりとLonelinessとそれらを取り巻く社会的構造を評価する国際的サーベイ調査を行うことでLonelinessに関する普遍的な因果構造を調べます。さらに孤独の影響を強く受けている人たちを特定し、それらの人たちにリーチするための政策等の策定に生かせる知見を創出します。

  • コロナ禍と遠隔地における家族支援のためのリモート心理療法の研究

    コロナ禍では家族関係を支援するための心理療法を対面で行うことが難しくなっています。リモートで行う親子の心理療法の有効性を検証しそのノウハウを国内で広めることで、コロナ収束後も遠隔地で利用できる技術開発を目指します。

基礎的な研究やその他の研究

  • 新型コロナウイルスを直接視る技術 new

    ウイルスに対する組み換え抗体に、独自に開発した頑強な蛍光タンパク質を融合し、ヒト試料や感染細胞の中のウイルスを可視化する技術を開発します。

  • 日本で流行している新型コロナウイルスの解析

    新型コロナウイルスのゲノムの進化を調べることは、今後のワクチン開発、また病態解析に重要な情報となり得ます。理研のゲノム解析基盤を生かし、増え続ける感染者からえたウイルスのゲノムの解析を網羅的に行います。

  • 新型コロナウイルス関連学術論文検索支援システムの開発

    COVID-19に関する生物医学研究の情報科学的支援を目的として、COVID-19に関連する学術論文のアブストラクトに記述された意味関係に基づいて複数の論文にまたがる内容を検索「COVID-19関連学術論文検索支援システム」を構築します。

  • エピジェネティクスに基づく新型コロナウイルスの解析

    メチル基転移酵素による「SARS-CoV-2」ウイルスのN6-メチルアデノシン修飾などのRNAメチル化が、ウイルス複製や宿主応答などに及ぼす影響を機械学習を用いて解析することにより、COVID-19治療の標的になる可能性があるかを探ります。

  • COVID-19の易感染性・重症化の個人差に関わる遺伝子の同定

    COVID-19の感染、重症化などの個人差は、各個人のゲノム配列の違いに起因すると考えられます。その違いを同定するため、国内の医療機関と共同でサンプルを収集し、全ゲノムシーケンスベースの解析を行います。また、国際的なコンソーシアムに参加する予定です。

  • コロナウイルス感染制御に貢献する腸内細菌叢の同定

    東京大学医科学研究所・慶應義塾大学と共同し、COVID-19感染回復者の便から、コロナウイルスSARS-CoV-2に対する抗体応答を増強できる細菌株の同定を目指します。また、セリンプロテアーゼを分解する腸内細菌株を分離したことから、この菌株を応用してコロナウイルス感染制御を目指します。

  • ポストワクチンのCOVID-19重篤化研究

    ワクチンから逃れたウイルスによるCOVID-19重篤化の研究を行うために、変異ウイルスと変異ウイルス感染患者の網羅的なデータ収集・解析を行い、モデル動物を使ってその結果を検証します。さらに、ヒト化マウスを用いたCOVID-19の重篤化の模倣し、治療薬の探索を進めます。

  • COVID-19感染予測モデルのデータ同化研究

    感染予測モデルとして標準的なSIRモデルをCOVID-19の特徴に合わせて拡張した拡張SIRモデルを高度化することで、COVID-19感染予測モデルを構築します。また、行動制限やワクチン接種を考慮するなど、今後の対応計画に資するデータ同化システムを構築します。

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  • 紫外線照射による新型コロナウイルス不活化のメカニズム

    これまで、多様な空間、物体表面、液体に応用できる紫外線を用いたSARS-CoV-2の不活化が注目され、一部波長の紫外線の有効性が報告されています。しかし、紫外線がSARS-CoV-2を不活化するメカニズムは明らかになっていませんでした。本研究では、抗ウイルス効果を持つことが知られており、既存の最も安価かつ容易に得られ実用化されている波長253.7nmの紫外線を用いてウイルスの感染性やSARS-CoV-2の不活化の仕組みの解明を目指します。

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  • ウイルスの不活化技術開発

    UV-C領域の紫外線ランプや、レーザーと光学系によりシート状のビームを作り、シートを通過するコロナウィルスを含んだ飛沫を不活化するコロナウィルスに対する光のパーテションを提供するための技術開発を行います。

  • 新型コロナウイルスに殺傷効果を持つ記憶免疫キラーT細胞の交差反応エピトープの同定

    ヒトの体内に存在する季節性コロナウイルスに対する「記憶免疫キラーT細胞が認識する抗原部位を発見し、その部位が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質(Sタンパク質)領域にも強く交差反応することを明らかにします。
    本研究により、SARS-CoV-2の重症度診断、ワクチン効果診断、治療薬の開発に貢献すると考えています。

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